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Bandcampとnote:WPからの移転理由

音楽ブログDecayed Sun Recordsを運営していました。Blogger→WordPressと移転したのですが、一切をリセットしてnoteで新たにスタートすることにしました。

なぜWordPressからnoteに移転したのか。いくつか理由がありますが、一番は、noteが健全で持続的な、あらゆるインディペンデントな創作活動を支援しうるプラットフォームだからです。

Bandcampとの比較からその辺を考えていきます。

Bandcamp:インディペンデントなアーティストを支援

Bandcampというミュージシャン向けのサービスがあります。誰でも無料で登録できて、音楽やグッズを好きに売れるサービスです(手数料10~15%)。レーベルや事務所を介さず、また、YouTubeやSpotifyのような広告もなしに、アーティストが直でファンと繋がれます。もちろん、レーベル事業をサポートするような機能もあります。訪問者の解析機能もついていて、彼らはどの国の人がどの曲をどれくらい聴いたか、といったデータを提供することで、アーティストをマーケティングの観点からも手助けします。

BandcampはSNSとしての側面ももっています。ファンもアカウントを作ることができ、アーティストや別のファンとフォローしあえます。フォローした人の買った作品はタイムラインやメールで通知されます。自分の買った作品は公開され、作品ページには、その作品を買った人のアイコンが並んで表示されます。

さらに、Bandcampはメディアも兼ねており、Bandcamp Dailyとして、おすすめ作品の発信や、特定のジャンルの特集、地域シーンの特集など、インディペンデントなアーティストを支援するような高品質な記事を配信しています。

(これはコロンビアのラップシーンの特集)

Bandcampは、あらゆる角度からインディペンデントな音楽シーンを支える素晴らしいプラットフォームなのです。

プラットフォームの性質は文化に大きく影響する
MySpaceやSoundCloud、Spotifyといったプラットフォームから、それぞれ新しい形でスターアーティストが生まれてきました。もっとさかのぼっても、ラジオにしろMTVにしろ、タイアップCMにしろ宮廷おかかえ演奏家にしろ、プラットフォームというものは、求められるアーティスト像や音楽表現に強く影響を与えます。Bandcampがこの先突出したスターを生むのか、新しい音楽表現を生むのかは微妙ですが、Bandcampの存在が、将来の音楽にプラスに働くのは間違いないと信じています。

noteはあらゆる創作分野のBandcampとなるか?

さて、このnote。誰でも無料で登録できて、クリエイターがコンテンツを好きに売れるサービスです(手数料15%)。クリック型の広告は排し、純粋にコンテンツでクリエイターが収入を得られるようになっています。また、SNSとしての側面も強いですし、数々の企画を立ててクリエイターの独立をサポートしてきました。

運営側のインタビューを読んでもわかるとおり、それらのサービス・施策は「いかに継続して創作活動ができるか」=創作第一主義で行われています。

本当にやりたいのはクリエイターがクリエイティブな活動を続けられるようにすることなんです。(「「noteは稼げる」からの脱皮がクリエイター増やす。急成長の舞台裏をCEO、CXOが語った」より)
noteはかなり理念設計。売上やPVよりも理念が先にきています。(「CEO加藤貞顕代氏が語る、クリエイターファーストをきれいごとにしないnote運営」より)

noteを使うことで創作コミュニティそのものへ寄与したい

Bandcampとnoteは、アーティストを中心とした健全で継続的なコミュニティづくりに貢献するという理念をもつプラットフォームだ、という点で共通しています。さらにいえば、利用者は日本語話者に限定されているものの、オンライン化できる広義の創作すべてがnoteに展開できます(もちろん、そのせいで「「ブログで稼ぐ!」系情報商材9800円みたいなのもあるわけですが……)

現状、noteは音楽系の文章とは相性があまりよくないようです(音楽ライターの柳樂さんが低価格投げ銭施策の内実を公開しています)。だからこそ、WordPressやBloggerではなくnoteを使うことで、noteの多様性に音楽という属性を多少でも加え、noteというプラットフォームとそこに参加するクリエイターが生み出していくであろうものに貢献できればよい、という考えでnoteに移転することにしました。

創作物は空から降ってくるわけではありません。創作文化のために、自分ができることを、できる範囲で、できるようにやる。そのうちのひとつが「noteで音楽について書く」だったわけです。

もちろん、以上の文章はかなり理想的で、現実はそう簡単ではないでしょうし、そもそもこういうのは影響力の大きいひとがやらないとあまり効果はない。でも「現実はそう簡単ではない」「自分がやっても何も変わらない」と言って何もしないよりは何かやったほうが失敗したとしても後続の参考になるという点ではいいでしょという前向きさと、テキストベースの世界ではテキストで発信しなければ何もないのと同じでしょ、という考えをもって、今後Toolの新作並には更新していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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