揮発性メメント・モリ
昨日、よく行く喫茶店の金魚が死んだ。
不味い珈琲を入れる店で、いつまでたってもエスプレッソの言えないウエイトレスがいる。俺はそれでもエスプレッソを頼み、無愛想なウエイトレスはそれを置いていく「エソプレッソとなります」もう本当はエソプレッソなのかもしれない。金魚は死んだ。
こうしてエソプレッソを飲みに来るのもこれで最後になるだろう。窓からは外の冷気が染み出している。向かいの薬局に鎮座しているテトラちゃん人形は、昨日よりもわずかに右に傾いていた。世界は変化しているのだ、俺はここ三