場所の記憶は人の記憶
先日とある用事があって小さい頃に住んでいた場所に寄る機会があった
この年になってから訪れると何度も見てきたはずの景色でも
あの時とは全く違う感情になる
よく好きで多い時には週3で通っていた近所のたい焼き屋さん
決してイマドキのおしゃれな感じはしないけど
やさしい雰囲気の夫婦が2人でやってる
たい焼きはあんこの蜜が貫通してしまうくらい皮が薄くて
いつもしっぽの先まであんこが詰まっていてそれは絶品
夕方、学校の帰りに寄って怒られることもしばしば
たい焼きは他のお店でも食べることはあるけど
私はやっぱりココのたい焼きが一番好き
今でも昨日のことのようにその味を思い出せます
もう一回食べたかったな、長い間お疲れさまでした
駅周辺の風景も私の知っているそれとは別物になっていた
駅を出たところの目の前には
休憩所のような大きな建物が新設されていて
何人か中で本を読んでいたり知り合い同士で話していたりする
町はお金を使い切らないと来年度の予算を減額されるみたいな話を聞くから
こういう共用施設にお金を使わざるを得なくなるのかなと思っていたけれど
少しは役に立っているみたいだ
でも見た目は変わっていても中身はただの私の知っている田舎町
いつ帰ってきてもそこには私の知っているままで残っている
もしかしたら最近では貴重なのかもしれないな
最後に私が引っ越す前まで住んでいた家を見てみることにした
売りに出して買い手がついた話は聞いた気がするけれど
駐車場には草が生え散らかっていて電気もついておらず
誰かが住んでいる気配はなかった
私が引っ越した後何も手入れされていない状態で
思い出も場所がそのまま残っていることへのうれしさと
だれにも必要とされなくなった寂しさもあって少し複雑な気持ちになった
必要としなくなったのは私たちのはずなのに…
帰りにコンビニで今シーズンになってから初めてのスイートポテトを買った
小さい頃から本当に甘いものが好きでスイートポテトは特に好きだった
そういえば好きになったきっかけはおじいちゃんだった
いつだったかは忘れたけれど
何かのお祝いでおじいちゃんと一緒に近くのケーキ屋さんに行って
買ってもらった
食べた時のおいしさに衝撃を受けたのを今でも覚えてる
もっとおじいちゃんといろんなところに行きたかったな
なーんてちょっぴりノスタルジーな気分に浸ったなんでもない一日
どこか訪れたときにふと前に来た時のことを思い出す
それはいつ行ったかや何をしたかよりも
なぜか最初に思い浮かぶのは誰と行ったかという人の記憶
でもそんな記憶も知らず知らずのうちに忘れてしまっているなあ
日々生活していると新しいものについつい目が行きがちだけど
今の私があるのは間違いなくこれまでしてきた多くの経験からのはずで
そんな当たり前のことを当たり前に忘れてしまっていた
経験したことがあることをまた同じように経験してみることも
たまには必要なのかもしれない
1対1での会話を心がけています。 私の言葉があなたに届いたら非常にうれしく思います。