024.オリンピック観戦記
7月26日に開幕したパリオリンピック。
今回の記事を書いている時点で、全行程の約3分の1が経過しましたが、連日の日本人選手団の活躍が素晴らしいですね!
メダルの色や数も気になるところですが、それ以上に、選手の方々の、団体個人を問わず、競技にかける思いや勝利を掴み取る力、オリンピックの舞台に立つまでの道のり、そして競技中の姿など、胸を打つ場面が数多くあるように思われます。
その数ある場面の中で、私の中に最も色濃く残っているのが、柔道女子52キロ級の2回戦、阿部詩選手とウズベキスタン代表のディヨラ・ケルディヨロワ選手の試合です。
おそらく、多くの方が胸を打たれた試合だったのではないでしょうか。
オリンピック2連覇を狙う阿部詩選手が優勢に進めていた試合でしたが、残り約1分。谷落としでディヨラ・ケルディヨロワ選手が一本勝ちを収めました。
試合後の阿部詩選手の悲痛なまでの泣き声に、勝負の世界の非情なまでの厳しさ、オリンピックという舞台に立つまでの道のり、オリンピックにかける思い、周囲や自身の重圧など、様々な背景を感じずにはいられませんでした。
決して阿部詩選手だけではありませんし、競技ですので、勝者がいれば敗者がいるのは当然なのですが、テレビに映る、場外で泣き崩れる姿を、胸を鷲掴みにされるような複雑な思いで見ていました。
と同時に、私は、阿部詩選手に一本勝ちしたディヨラ・ケルディヨロワ選手の姿勢にとても胸を打たれました。
あくまでも私の中での考えに過ぎませんが、ディヨラ・ケルディヨロワ選手にとって阿部詩選手はとても高い壁だったはずです。
自身が金メダルを取るためには絶対に越えなければいけない高い壁。
どうやってこの高い壁を越えるか。どうやったらこの高い壁を越えられるのか。何とかしてこの高い壁を越えたい。
そんな一心でこれまで練習をしてきたのではないでしょうか。
「どんなイメージをしても自分が勝つ姿が想像できない」というようなこともあったかもしれません。
そして、2回戦という早い段階での試合。当然のごとく、ここで負ければもうメダルにも届かない。
阿部詩選手にも相当な重圧があったと思いますが、ディヨラ・ケルディヨロワ選手にも同様に相当な重圧があったのだと思います。
さらに試合も、阿部詩選手が優勢に進めていました。指導をとられ、技ありも取られ、もう後がない状況。阿部詩選手の強さに「負ける」という言葉が頭をよぎっても不思議ではありません。
そのような、とてつもない状況の中で、ディヨラ・ケルディヨロワ選手が勝ったのです。
とてつもない高い壁を越えたのです。
その直後のディヨラ・ケルディヨロワ選手の一連の姿勢。
ガッツポーズのような勝利を表現する動作もなく、喜びを表すような表情も一切なく、開始線で静かに立つ。
淡々と相手を見つめ、礼をして、両手で握手を交わし、静かに退場する。退場する際も一切表情を変えずに。
喜びよりも、勝って一段と張りつめた顔になったようにも感じます。
私には、その動作や表情から、喜びよりも阿部詩選手への強いリスペクトが感じられました。
越えられないと思っていた高い壁を越えた喜びを微塵も感じさせず、さらには戦った相手へのリスペクトを感じさせる姿勢。
そんなディヨラ・ケルディヨロワ選手の姿勢に、とても胸を打たれ、感動させられたのです。
素人の考えになってしまいますが、なかなかこのような姿勢はできないように思います。
本当に強い方だと思いましたし、本当に素晴らしい方だと思いました。
また、阿部詩選手のご両親やご兄弟の心の強さにも、同様に胸を打たれました。
お兄さんの阿部一二三選手も強い。家族の絆も強い。
本当に強く、素晴らしい方々。
月並みな言い方になってしまいますが、阿部詩選手には今回の経験をかてに、更なる高見を目指してほしいと思います。
まだまだ続くオリンピック、そしてパラリンピックでも、日本人選手団の方々をしっかり応援していきたいと思います!
がんばれ TEAM JAPAN!
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