『90歳、何がめでたい』
92歳になる祖母がいる。
腰は曲がりきり、杖無しでは歩くのも難しく、耳は遠くて会話も一苦労。
だけど頭はしっかりしていて、ボケる気配はまだ無い。
老体ながらも毎日畑に行き、台所に立って炊事し、家業を切り盛りしている。
そんな祖母だが、80歳を過ぎた頃から「もう疲れた。早く死んでしまいたい」と言うようになった。
こちらとしては長生きしてもらわねば困る。
「何を気弱なことを」「同年代は皆ボケて認知症だ」「頭がしっかりしているだけ幸運と思わなきゃ」と、さんざん父と慰めてきたが