見出し画像

#006 畜生道の歩き方

20歳の頃、家出してやった。
東京に住む恋人の家に転がり込むためだ。
就職した会社はすぐやめて、バイトして、バイト辞めて、することがなかったし、自分を変えるためにとんでもないことをしたかった。

母はまぶたに涙をたっぷりたたえて、今にも泣きだしそうだ。
私は平然と玄関を強行突破、駅までのルートでどう巻こうかと考えていた。
父は電話口でこれまで聞いたことが無い声を出し、キレ散らかしていた。
これは追いかけてくるな、ルートを変えようと思った。

これが私の畜生道のはじまり。
その後、年に1度は寅さんよろしくふらっと実家に顔を出したが、金の無心をするためだった。

30歳になる手前で結婚したあと、一切の連絡を絶った。
すぐに離婚した事を知られたくなかったし、相変わらず金に困っていたから、またもや無心を重ねてしまいそうで、とにかく消えたかった。

今でも家族を思うと死にたくなる。
自分があまりにもクズでどうしようもなくて、恥ずかしくて耐えられない。
お願いだからもう死んだことにしてほしい。

もし両親が私を愛していたとしても、絶対に応えられない。
私は自分が生きてるかどうか、死にたくならないかどうかで精いっぱい。

正直、父や母のことよりも、実家で飼っていた犬のほうが私は恋しい。
いろんなペットを飼ってみたけど、あの犬ほど満たされる存在はなかった。

だから畜生道。
地獄でなければ、畜生道に落としてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?