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ルパン三世 PART5&「今も燃えているか」 ルパンのリベンジ

パート5のルパンと不二子の終わった関係は、「恋人だったこともあったかな」という「カリオストロの城」の二人のオマージュでもある。


過去作品のオマージュを散々やったパート5で、プーンのことはまったく出て来ない。ルパンと不二子の関係をテーマにして、この話を無視することなど出来るはずもなく。


本来なら不二子と別れても「お友達になりたいわあ〜」くらいの明るさで、女と別れた後も後腐れないのがルパン。不二子とは同士でもあり、互いのアバンチュールを見て見ぬふりするようなドライな性格で、後に引きずるのはあまり想像出来ない。


なのにあんなに殺伐として、不二子に対して憎まれ口を叩く、らしくないルパンを演出したのは、ルパンが不二子の心にプーンが居ることに気づいたなら、その怒りも当然で、その先にプーンを見据えてのことならわかる。


パート5のED、不二子はベッドに"Adieu"と書いてルパンを残して去った。ルパンの怒りは一方的に別れを告げた不二子への怒りなのか

ルーブル美術館の前で
ルパンの背中を見つめる不二子
二人の心に距離が生まれて
不二子は裸足で一人で帰って行った

何があったのか、ルパンに何を言われたのか
"Adieu"の前に何かあったはず


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考えてみると、ルパンにとって、プーンほどの強敵は中々いない

強さだけで敵う相手ではなく、不二子の心を巡って
愛を巡って
人として、男として立ち向かわなければならない


武器を捨て
素顔を晒さなければならない


プーンに比べたら、銭形も、アルベールも
ルパンの脅威にはなりえない


プーンはルパンにとってある意味最大の敵で
なぜなら不二子はプーンを愛していたから

そしてプーンはもう死んでいて

不二子の心の中だけに生きているから

死者との勝負は、タイムスリップでもしない限り実現しない



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そう考えると、パンチ先生があえて「今も燃えているか」
ルパンに過去への旅をさせたのは
プーンと再会させるのが目的で


それはルパンが闘わなかったプーンが
倒さずに勝った相手が

実はルパンの最大の敵にもなり得ることに気づいたからで


だから不二子の代わりに銃を取り
ルパンにリベンジさせた
決着を付けさせたようにも思うのだ


このシーンでプーンが銃を向けることをルパンは知っているから
勝負に見えないかもしれない


でも、不二子を抱え、背を向けて
そこから銃を抜くルパンの行動は
決闘以外の何物でもない


背中を向けたのは相手に銃を抜かせるため
早撃ちの勝負でルパンは勝ったのだけど


多分プーンは不二子を抱えているルパンを
撃つことは出来なかったと思う


だから不二子を抱きかかえ背を向けているルパンが
ルパンに抱きかかえられている不二子が
プーンを撃つことが出来た


この勝負は不二子が撃っても
たとえルパンが撃っても
撃つ気のない相手に銃を放ったわけで

最初から勝負は決まっていて
不二子は自分が撃てば、プーンのことを想い続け
ルパンが撃てば、不二子はルパンに銃を向ける


どちらが撃とうと、どちらの結末でも
ルパンの負けだった


不二子と心中するつもりでいたプーン
不二子と愛し合った過去があり
一緒になれないなら死んでもいいと思っている相手に
ルパンは敵わない

ルパンが出来ることは
死の淵へと一緒に引きずりこもうとする相手から
不二子を救うことだけ

不二子に生を与え、ともに生を歩むことだけ


たとえルパンが過去へ戻って歴史を変えても
プーンと不二子が過ごした愛の日々を変えることは出来ないのだから
どちらが撃っても不二子のプーンへの想いは変わらない

過去改変の物語として、とてもよく出来ている
なるほどなと思う



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EDのルパンとのこのシーンをプーンと思っていた人がいたのだけど、今思うと偶然ではないのかも?トレンチコートも頭の形もプーン味がある。

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