健康とバイク⑤
油断
油断という言葉は、『油を一滴でもこぼせばお前の命を断つ』と王様から仰せつかった家臣が、油の入った鉢をとても注意深く運んでついに一滴の油もこぼさなかった、と言う仏教の法典の中にある説話が元になっていると言われています。
油をほんの一滴こぼすだけで命が断たれる、ということから、注意を怠る、小事と侮る、気が緩むといったことが取り返しのつかないことに繋がるということを戒めた言葉です。
「好事魔多し」という言葉もあるようにあまりに事が上手く行き過ぎた時には、心が浮かれてしまい大きな失敗を招く場合もあります。
現在世界中を揺るがしている新型コロナウィルスも、ほんの一瞬の気の緩み、ただ一度外から帰った後の手洗いを怠ったことで感染することだってあるわけです。
バイクに乗る時も集中力を保ち、常に五感で情報収集をしながら危険予測をし、なおかつ正確に各種の操作をすることが求められます。
敵は外にいるのではありません。
己の心の中の油断こそが最大の敵なのです。
病は気から
病を産む大きな原因の一つは、間違いなくストレスではないかと思います。
ストレスを抱えないためには、感情をコントロールして精神を安定させなければいけません。
バイクは繊細な操作が必要な乗り物なので、感情が乱れている状態で乗ることは危険極まりないことです。
イライラしながらスロットルを捻るなど無謀の極みです。たとえ何か苛立つことがあったとしても、バイクに乗ったならばその感情を制御してマシンの操作に集中しなければなりません。
怒りや恐れ、焦りといったネガティブな感情に負けない強く安定した精神を養うためには、バイクに乗る事が非常に役立ちます。
年齢とライディング
リターンライダーは視力や筋力、反射神経などが若い頃に比べて確実に衰えています。
人間は年齢に勝つことは出来ませんので、これは仕方がないことです。
ですが、バイクに乗っているとスピードや挙動などに対応するためなのか、反射神経も若干鋭くなってきますし、視力や筋力もやはり何もしていない時に比べれば強化されてきます。
また多くの経験を積んだことにより、精神力は若い頃よりもはるかに成熟しています。
大人のライダーは、若い時には持っていなかった武器を駆使して走る事ができます。
その武器とは、感情をコントロールする事ができる精神力。それによって冷静な判断と確実な操作を行うことが出来ます。
バイクで培った精神力を普段の生活でも発揮して、病を退けていきましょう。