悪夢 1/5 それはまるで悪い夢のようだった。
これは「やってられっかこんな人生(もの)」に収録した作品です。
全部売れてしまったので公開します。
それはまるで悪い夢のようだった。
彼女は掃除機に吸い込まれていくごみのように車体の腹に呑みこまれ、消え去り、音も立てずにいなくなった。後には、彼女のブロンドの一房が地面に少しだけへばり付いていて、それ以外はまるで奇術師の手にかかったみたいに何もなかった。僕は茫然とそっちを見ていたので、スピンした自動車を降りた過剰積載の少年たちが酩酊した様子で橋のアベックに突っ込んでいくの