さをり織りという織物。

*今日は、やさしいてをめぐる旅、対談の最終回です。最終回のお相手は、windfall LABのあかいさん。「さをり織り」という織り方でひとつひとつ手作りの商品を織られていて、ぼくはさをり織りが大好きなんですね。じつはHPのコピーなども作らせてもらったりしているのですが、これがほんっとに良いんです。人の手でつくったものが、こうまで人の心に触れるものなのか、と実感します。

さをり織りが持つ哲学に「キズは個性」「布を織るのではなく、自分を織る」ということばがあります。どちらも創始者である城みさをさんという方のお言葉ですが、聞こえこそ良いものの、きちんと受け取るのになんとも勇気がいる言葉なんだ、と思います。ぼくは実際にさをり織りを何度も体験させてもらっているのですが、いっつもこの言葉たちに悩まされながら、織っています。悩みながらつくったものなのに、出来た頃にはすっかり大好きで、愛着しかないんですよ。

さをり織りでは、決まったデザインもないし、織り方を教えることもありません。織り機の操作方法だけ教わって、あとは自由に織る、というもの。自由になんでもしてくださいって言われると、途端に何をしていいかわからなくなるでしょう?そこから、織り手である自分との対話がはじまるわけです。ぼくはどんなのを織りたくて、何がしたくて、どんな色が好きで…自分と向き合わざるを得ないんですね。

自由を気楽に捉えてすいすい織れる人もいれば、そうじゃない人もいる。ぼくはそうじゃない側だったので、すーぐに立ち止まり、自由っぽい解釈の方にすぐ飛びついちゃいます。でもそれも、自分では分かってるんですよ。「こうした方が自由に見えるな」なんて考えに囚われてることもね。でもそうして嘘を分かりながらも織った作品は、なぜだか好きになっちゃうんです。ほーんと、ふしぎだよ。

ひとくちにここですべては語れませんが、ぜひ対談を読んでみてください。まさに今回の『やさしいて』に、さをり織りはぴったりなんです。だし、本当に素敵な芸術であり、商品です。いつだって、もらってうれしいものは人の手からつくられるよねー。


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