影響を受けないと決めること。

*「好きな人の全部を好きになる必要はあるんですか?」という質問がラジオで流れていた。いい質問だなーと思いながら、仕事をする手が止まり、すこし考える。好きな人の全部を好きになる必要は、果たしてあるのだろうか。

至極個人的な意見を述べさせてもらえば、その必要はない気がする。恋愛に限らず、親しい友人、家族、恋人、尊敬する先輩、心が近い人。そういった人たちのすべてを好きになる必要はないし、自分のことをすべて好きになって!とも思わないでしょう。嫌いにならないでとは思っても、まるごと好きでいて、とはちょっと思いにくい。

距離が近い人や、仲が良い人だからこそ「この人の、こういうところには影響されない(受けない)」と決めて接するのは、大事なことのように思う。その人のことをまるまる好き!にならなくて済むように。頭のてっぺんからつま先まで、あなたのことが好きです!って言われたら、ちょっとひいちゃうよ。そこまで好きにならないでくださいと、こちらからお願いしたいくらい。

家族や恋人でも、このことを意識しておくのは大事なんじゃないかな。一緒にいる時間が長ければ長いほど、無意識にどんどんと似てくるものだ。似なくていいところ、似たくはないところまで似てきたりするものだ。それを防ぐには、意志の力しかないんじゃないかな。ここは影響されなくっていいなと思うところを、どれだけ親しい相手だろうと持っておく。それは相手のためにもなるし、自分のためにもなる。「礼節」と言い換えてもいいかもしれない。好きな人や親しい人のことを、何でもかんでも受け容れる必要はない。受け容れることと、否定することはちがう。

これはまた、師弟関係とかだとちがうんだろうなー。師匠と弟子というのは、奇妙な関係だと思う。とくに伝統芸能の世界で見られたりするけれど、師匠のへんなところも似ちゃうほど、コップの中の水を入れ替えることでもある。ああ、このへんも、友人の落語家と話してみたいことのひとつだ。


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