ちからのぬきどころ

*きのう、滋賀にあるお知り合いの家へ遊びに行った際、約4年ぶりくらいに薪割りをさせてもらう機会に恵まれた。直径30センチ、長さ70センチほどはある薪(という丸太)を、自分の腕よりも長い斧を振り回して割ってゆく。切っていくのではなく、スコーンッと割っていくから、薪割りという単語はとっても合っている気がする。バコーンッと斧で切り倒すっていうよりは、道を開けて割ってあげる感覚の方が、薪割りはじょうずにできるんだな。(おれ調べ)

薪割りのコツを、ちょっとだけお教えしよう。え?そんなの求めていないだって?まあ、いいじゃないか。ほら、柿でも食いながらちょっと聞いとくれ。薪割りってのはな、力を入れたらうまくいかないのだ。力を抜いてあげた方が、薪にスッと刃は通りやすいんだな。ようするに、力は要らないのだ。と言いたくなるけれど、じつは力が要らないわけではない。じっさいに、斧を降ろそうとするまでの、持ち上げるまでのあいだは力が必要なので、斧が最高点に到達するまでは力を入れる。あとはその遠心力で、斧を下ろす。力を抜くのではなく、”力の抜きどころ”が大事なのだ。

力の抜きどころ、つまり、どこでスイッチをオンにするのか、オフにするのか、スイッチの切り替えどころを知っているか、というわけだ。リラックスしなきゃ、とか、緊張もひつようだべ、ってことよりも、どこから先は力が必要で、どこまでは要らないのか、というグラデーションを知っておくのがいいと思うんだよなぁ。アクセルを踏んで、どこからは踏まなくても勝手に進むか、みたいなさ。さまざまなことをやる際に、スイッチのオンオフの切り替えどころを見極めてみると、おもしろいもかもしれない。


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