ちょっと踊ろう、ちょっと歌おう。

*日々予定が詰まっていたり、詰まっていなかったりしても、じつは「ちょっとした時間」というのが、すきますきまに存在するものだ。打ち合わせと打ち合わせのあいだ、スープを煮込んでいるあいだ、電車を待っているあいだ、友達がトイレに行っているあいだ、ねむたくなるのを待つまでのあいだ、家から駅につくまでのあいだ。

そういう「すきま」や「余白」といった時間を、気付けば「時間を潰す」行為で埋めてしまっていることが、そこそこ多い。何かをしているあいだに時間が潰れるのではなく、時間を潰すために、時間を潰しているのだ。主に、スマホでニュースを読んだり、とくに見たいものがあるわけでもないのにSNSを開いたり、Youtubeを観たり、ね。手っ取り早く時間が潰れるし、ラクなんだけど、なんだかそれはもったいないではないか。ヒマな時間と、向き合っていないではないか、と思ったのだ。

そういえば、子どもには「待つ」という感覚が分かりにくい、という話を聞いたことがあった。「ちょっと待っといて」と言われても、何をしていいかがわからない。これを「ちょっと踊っておいて」に変えるだけで、子どもは踊っているんだという。なんてハッピーで、面白い時間の過ごし方なんだと思った。

そうだ、ちょっとした時間を過ごす方法なんて、いくらでもあるはずだ。時間を潰したり、ただ埋めるために情報を入れたりするのでは、もったいない。ちょっとした時間の過ごし方ひとつで、気持ちが晴れやかになったり、休めたりすることを、ぼくらは知っているじゃないか。

ちょっとした時間に、ちょっと踊ってみよう。ちょっとした時間に、こそっと歌ってみよう。ちょこっと一杯ひっかけてもいいし、さくっと誰かと話すでもいい。ふらっと公園に出かけてみたり、ちょっとだけ眠ってみるでもいい。ちょびっと本をひらいてもいいし、気になっていたお店に行くだけ行ってみてもいい。そういう、すきまの時間を「ちょこっと」過ごしてみることの面白さと大事さと、なんでもなさといったら。


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