相手に気を遣わせる気遣い

*高校球児だった僕は、それはもうコッテコテの体育会系で青春を過ごしたものだった。挨拶は欠かさない、靴は揃える、ノックをする、常に周りを見る、机の上にあるペットボトルは横に倒しておく、、、思い返せばいくらでも出てくるくらい、当時の高校での気遣いのイロハを叩き込んでもらった。もちろんそれがすべて正解だとは今は思わないし、あえてサボることもあるよ。ま、当時は「郷にいれば剛に従え」だったわけだね。あれ、これだと「長いものに巻かれる」ってのと同じ意味になるか?

大人になって思うのは、「気遣い」ってのはマニュアルじゃないよなぁってことだ。マナーにはマニュアルがあるよ。あれは、手続きを踏むことが重要だからだ。気遣い、心配りってのはつねに相手のニーズを察知して、それに合わせて動く必要がある。

例えば、一緒に酒を飲んでいる人のグラスが空だったとしよう。そこで「なに頼みますか?」とサッと言えるのはまず素晴らしい。だが、その人がもうお腹ったぽんたぽんで、もうお酒いらないなぁと考えていたらどうだろう。断りにくい提案になってしまわないだろうか。「同じので良いですか?」なんて言っちまったときにゃあ、同じの以外の選択肢を相手は出しづらいだろうし。

相手がしてくれた気遣いを、快く受け止めるのも気遣いだ。「それ、ちがうよ」って指摘してあげるのも気遣いだ。時と場所に加え、人間関係によっても「気遣い」の対応は変わってくる。「気を遣わなくて良いですよ」って伝えるのも、上級な気遣いだと思う。

ただそれを、そのまま伝えちゃ芸がない。いい大人は、それをいろんな形で伝える方法を探したり持っている人なんだろうなー。「私のことは後にしてくれないと、私はあなたに構ってばかりになるじゃないですか!」なんて冗談っぽく言うのは、すっごい理想の気遣いだと思う。ぼくも、そういうのができる大人を目指していきたいんだよなぁ。気遣いは、テンプレートにはなんない。


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