人間図鑑、其の一

*そういえば昔、my地蔵と「人間図鑑」なるものを作ったらおもしろいのではないか、とおしゃべりしたことがあった。昆虫とか動物とか、その生き物はこんな形をしていて、こういう性格で、こんなものを好んでいたり、これこれこういう習性があります、みたいなのはあるでしょう?でも、人間はないじゃない。心理学的なものやステレオタイプといったのはあるけれど、人間以外の生物が人間を見たときに、同じように人間図鑑なるものがあるんじゃないか。

ぼくは妖怪の類のこの世にいない生物をけっこう好んだりするので、いくつかそういう「人間図鑑」に出てきそうな人をつくったことがあります。ちょこっとご紹介してみましょう。


・背中さすりおじさん

42歳。出生地は東北。誰かが泣いていたり、ひとりでくよくよしたり落ち込んだりしているところにやってきては、言葉を発さずただただ背中をさすってくれる。振り向くとにっこり笑うが、これまた言葉を発することはない。その人が泣き止むと、すうっと玄関から去っていく。去っていくときに、玄関の靴をぜんぶ左右逆にしてくるが、これは彼なりの可愛いいたずらである。ちなみに言葉を発さないのは、地元の方言が出てしまうのが恥ずかしいから。


・それええなおじさん

35歳。あらゆる隙間や狭い場所を好み、どこからともなく現れる。何かをつくっていたり、考えていたり、アイデアが思い浮かんだ瞬間に「それええやん!」と関西弁でひとこと突っ込んでは、隙間に消えていく。ほったらかしに見えるヒゲは、実は毎日手入れされているらしい。好物はなめろう。


・蚊おばさん

人と会ったり別れたりするときに、とりあえずハグをする。ハグをすることでその人を大事に思っていることを伝えれたらいい、とかそういうわけではなく、その人の生気を吸い取っている。実はそのことは大抵の人間にはバレているが、一部の人からの支持がすごい。かかりつけのエステがあるが、最近値上げしたのでそれ以来通わなくなった。ワンピースが好きでよく着ているらしい。


みたいなね。他にもいくつかあるんだけど、今日はこんな感じー。人間ってさ、おもしろいよね。いろんな人がいて、良いところもわるいところもあって、それでも関わらないと生きていけない感じが、他の生物からしたら滑稽なんでしょうなー。でもそれが、人間ってやつなのさ。

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