できることをよりよくする

*サーカスとか、ショーとか、いろんなエンタメを見ながら「わぁっ!」と歓喜することが多いぼくだけれど、じつはああいうのを見ていて分かったことがひとつあるんだよね。ああしたお客さんをよろこばせて、毎回毎回期待に応えながら仕事をやり遂げている人たちってのは、「できることしかやらない」んだ。いわゆる、「できないことはしない」んだよね。

よくさ、言われるだろうけど「十回のうち六回は失敗します」みたいなことを言ってさ、「じゃあ四回は成功するってわけだな、それに賭けよう」みたいなのは、なかなか現実にはない気がするんだ。いや、もちろんアタイは中の人じゃないから分かんないよ、100%ウケるネタなんてないように、失敗と隣り合わせでやっているんだろうけどさ、でもね、できないことをしないというある種当たり前の考えは、ああした人前に立つ人たちはしっかりと持っているように思うんだよ。そしてね、これを逆から読めば「できることを、きちんとやっている」ということなんだ。

わあっとみんなを驚かせたり、よろこばせたりするあのパフォーマンスは、ぼくたちからすれば「できないこと」なんだけど、演者からすれば「できること」なんだよね。できることだからやっているんだから。で、もちろんそれは最初から出来たわけじゃなく、その「できること」をしっかりと育てていって、ちゃんと「できること」として確立させたからなんだよなぁ。つまり、彼らは「できないことに挑戦する」というよりも、「できることをよりよくする」ほうをやってきたんじゃないかなと思うんです。できないことをできてしまうってのは、ある種のマジックなわけですから。

だとするとさ、できないことがやりたいことならいいけれど、特にできないことをはじめてみるよりも、もしかすると「できること」の周りや、そのものを育てていくのも良さそうだよなーと思うんですよ。そうして育てていくうちにさ、周りに芽を出してくる植物があったりしそうでさ。そこに気づくってのも、ちゃんと目を向けているからだったりするもんなー。いやはや、できることを育てていくってのは、じつは自分にとってもやりやすいんじゃないかなと思ってね。


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