まちがいさがしは簡単だよー?

*「まちがいさがし」ってゲームがある。左右の同じような絵に描かれたものの「まちがい」をいくつか探して遊ぼうってものだ。なにがちがうか、どこがちがうか、色や大きさ、ちょっとした機微に注視しながらよくよく見ていく。ま、誰もが一度は遊んだことあるでしょうな。

「まちがいさがし」って、まあだいたい5分くらいで終わるもんでしょう?長くても10分や15分、それ以上はなかなか集中力も持たないし、飽きてきちゃうね。まちがいさがしをしてたら日が暮れちゃった、なんて話は聞いたことがないし。でね、ちょっとその裏側を覗いてみようよ。その5分や10分でまちがいを見つけて終われるような「まちがいさがし」は、いったいどれくらいの時間でつくられていると思う?

内容によるだろうけど、絵を描くのに最低でも1時間はかかるでしょう。そこから「どこをまちがいにするか」、つまり「まちがいをつくる」ことにも、これまた小一時間はかかりそうだ。分かりやすすぎてもいけないし、分かりにくすぎてもいけない。集中力が保つ絶妙なタイミングで解けるくらいの難易度設定。ま、そこからテストプレイが入るわけですな。「これちょっとむずかしすぎじゃない?」とか「ここ、新たにこういうまちがいはどうだろう?」なんて大人が会話しあって、できていくもんでしょう。

ま、このあいだも色んなものをしょっぴいてるけど、単純な作業時間だけでも最低3時間はかかるよ。完成までは当たり前だろうけど何日もかかるわけだ。でね、この事実をだよ、改めて思い返してみようよ。「まちがいをさがす」のにはたったの10分やそこらでできるんだ。でも「まちがいをつくる」のにはその何倍も何十倍も時間と労力がかかっている。

いや、これはほんの例えだよ。例えだけど、そうじゃないかい?まちがいさがしってのはさ、ある意味では簡単なんだよ。ベースとなる素材がすでにあって、それに対して「いい」か「わるい」か、「合ってる」か「まちがえてる」かを判断すればいいのだから。検閲とかそういうプロの仕事は置いといて、改めてぼくたちは「まちがいさがし」は「まちがいをつくる」ことの何倍も簡単なんだと思った方がいい。

「まちがい」にやさしくない世の中は、やっぱりなんか窮屈だよ。人のまちがいを指摘して自分があたかも正解した気がするけど、その当人は正解でもなんでもない。ただ「まちがい」を指摘しただけだ。それに、まちがいをつくる、もっといえば「まちがえる」ことのほうが何倍も時間と労力がかかることなんだ。と、そのことを分かっておきたいねー。まちがっても、まちがえさがしが生きがいなんて人間には、おいらはなりたくないなぁ。


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