目と口の使い方。

*「プライドがないから頭を下げるんじゃなくって、頭を下げたときに、君の心に残っているものがプライドだ」みたいな文章を、どこかで読んだことがある。そうだなあ、と思いながら自転車を漕いでいた。ぼくはむしろ、真逆のことを今しているんじゃないか、と思う。気に入らないものは気に入らないと正直に言うようにしているし、変な褒め方をしない、できるだけ好き嫌いに嘘をつかないことを心がけている。そのせいで、損をすることだってたぶん気付いてないけどあるはずだし。

でもね、ふと思ったんですよ。べつに、正直でいるからってわざわざ「きらい」と口にする必要はないんじゃないかって。なんなら「ぼくはあんまり好きじゃなかった」でいい。わざわざ傷つけるような言葉を選ぶ必要はない。それに、いわゆる制作物に文句があったとしても、それは笑顔で気持ちよく相手に直してもらえるように、ぼくがそういうアプローチをかけるのが一番だよな。そこで、「あんまりですね」なんて言うより、やっぱり笑顔で「ここ、こうしましょう!」のほうが、言われる側も気持ちいい。溜飲を下げたとしても、でもその溜飲を下げた先にあるのがプライドじゃないのかって。

正直にいることは大前提として、伝え方をそろそろ変えていかないとなぁと、自分に思ったわけである。「嫌い」という言葉を使わなくても、嘘をつかずにできる表現はある。もちろん、使いたいときは使えばいいと思うけれど。「Aはダメだから、Bのほうがいい」なんて言い方を、できるだけなくしていかなきゃねー。そういう目と口の使い方を、できるだけしていこうと思った夜である。人間は、反復で出来上がる生き物なんだから。


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