おおきな耳を持つこと

*きのうはある大学で、授業をさせてもらったのですが、これがもうおもしろかったー。やっぱり、若いっていいね。言ってもぼくとそこまで歳は変わらない方々だけども、やっぱりあの若い頃のむじゃきさというか、馴れ馴れしさみたいなものは羨ましくも思う。「リアクションが薄いので、むづかしいですよ」とは聞いていたものの、そんなこたぁなかった。学生さんたちなりに、きっとぼくのほうにたくさん譲歩してくれてたんだと思う。

授業は「映画宣伝のことばについて」という内容でお願いされていたのだけど、そのへんはまあ、ぼくっぽくやらせてもらいました。ことばについての授業だけど、まず最初にスライドで出したのは「口より、耳をおおきくしましょう」だしね。口を鍛えるよりも、じつは耳を鍛えてみた方が手っ取り早いし、大事なんです、ということを90分ほどワークも含めてやってみた。駆け足だったけど、学生さんたち、よくついてきてくれたよ。それにワークの内容も、なかなかにレベルが高かったし。

ぼくも一応、伝えるためのお仕事をさせてもらってるけど、正直そこまで口は上手くないんだよなぁ。そもそもが、口下手なもんだし。口下手がいくら頑張ったって、せいぜい「口フツー」になるのが関の山なんですよ。ま、とっても頑張ったとして、お口がジョーズくらいかな。お口がジョーズって、サメみたいで怖いかもしれない。

口で満点を取れなくても、耳で補えばいい。コミュニケーションってのは、口と耳とで行うもんなんだから。じつはこれを口ばっかり鍛えようとして、耳をおろそかにしちゃってることがコミュニケーションにおいての齟齬なんですよね。「リンゴが欲しい」って言ってる人に「最高級のみかん」を渡したって、だめなんです。求められてるのは「最高級のみかん」じゃなく「ふつうのリンゴ」なんですよ。でもついつい、みんな自分でつくった「最高級のみかん」みたいなものを渡そうとしちゃうんですよね。でもね、「ふつうのリンゴ」でいいんです。それって、じつはそこまでむづかしくないことでね。

ま、そんな授業を大学生の前でさせてもらいました。来週ももう1回あるから、来週はさらにことばについて、だけど、もっと「耳」を使おうって話をできたらいいなー。やっぱり前で話していて思うけど、熱心に聞いてくれる人に向かって話したくなるというか、吸い寄せられるものだよ。心を向けて話を聞いてくれる人には、ぼくたちはついつい色んなことを話したくなっちゃうもんだねー。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?