ご紹介、というもので

*絵本『やさしいて』の出版にかけて、2日前から様々な人たちとの対談がスタートしています。テーマソングをつくってくれた the caves×SHUさんからはじまり、手作り石鹸のしほさん、今日はぼくの大好きなお芝居ユニット 芝居紳士さんとの対談がお昼頃に公開されます。芝居紳士さんとの対談では、この絵本のもうひとりの著者である、森元 明美という人物が初めて登場します。

絵本の原案は、ぼくじゃなく彼女にあるんです。彼女が素材と味の方向性を担当して、ぼくが調理と仕上げをした感じかな。正直なところ、ぼくの作品というよりも彼女の作品にぼくが伴走した、というニュアンスの方が近いかもしれません。ぼくは、森元 明美という人の表現が、考えていることがほんとうに素晴らしいと思うし、この人の表現を浮世とつなげるのが、ぼくの役割なんじゃないかなぁとも思っちゃったりするほどです。

彼女の描く絵は、お世辞にも綺麗ではありません。アイコニックでもないし、デザインでもない。どちらかというと荒々しくて、かといって大雑把で攻撃的なわけではなく、繊細で、根っこの存在を確かに感じるような絵たちです。ぼくはそんな彼女の絵を心から美しいと思います。綺麗なデザインには出来ないような、たしかに心に触れてくるものを彼女は生み出し続けてる。いいことに聞こえるかもしれませんが、それしかできないという意味では、彼女も苦労してるんだろうけど。

赤ん坊が心から笑ったり泣いたりするように、瞬間瞬間の感情を揺さぶるように絵を描きます。かと思えば、大人が誰かのために嘘をつくように、溜飲を下げてやさしく在ろうとするように、振り上げたい拳をぐっとこらえるように、やさしくてさみしい絵を描きます。絵だけじゃなく、彼女の中にそういう両方の心の動きが確かにあるんだと思います。それは、とても丁寧に生きている証拠だとも。

彼女はあまり多くを語りたがらない性格だし、解釈は受け手に完全に委ねているので、あんまり表舞台に出てくることはないですが、今回の対談でちょこっと出てきてくれています。ちょこっとですけど、ぜひ読んでほしい一部分でもあります。この絵本は何を隠そう、彼女が存在したから出来たものなんですよねー。それを、この文章を読んでくれている人にもぜひ触れて欲しくってね。今日はそんなことを書きました。


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