「余計なひとこと」を言わずに。

*たぶん、たいていの人が「余計なひとこと」を言ってしまった経験があると思う。「ああ、あれ、余計なひとことだったなぁ」と自分で思うこともあるだろうし、「そのひとことが余計なんだよ」と言われることもあるだろう。多かれ少なかれ、ほとんどの人は「余計なひとこと」を言ってしまったことがあるはずだ。

では、どういう言葉が「余計なひとこと」なのだろう。「余計」なのだから、

その「余計なひとこと」は、たいてい、言いたいから言っていることなのだ。言わなきゃいけないことでも、言ったほうがいいことでも、言わんとしていることでもない。ただ、言わなきゃ気が済まなかったり、言いたいから言ってしまっている。本文には、なんの関係もない、ただの感情の吐露に等しい。だから「余計」なのだ。

感情をぶつけたかったり、言いたかったり、気をすませたかったりする。それが「余計なひとこと」の正体だ。そしてそれは、いつだって自分にとっての都合でしかない「ひとこと」だから、余計なのである。

しかし、こうしてその「余計なひとこと」のメカニズムが分かったからといって、やめられるわけではない。「余計なひとこと」を言わないようにするためには、瞬間瞬間自分を律するしかない。「余計だな」と分かっていても、言いたくて言ってしまうこともある。口を滑らせてしまうこともある。怒りや焦りの弾みで、こぼしてしまうこともある。

「余計なひとこと」を言わないように、と心掛けても、そうできないかもしれない。しかし、心掛けなきゃ、できるものもできない。おれはあと何回、「余計なひとこと」を減らして生きていけるだろうもんか。

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