いいとかわるいとか、それ以外のもの

*お世話になっている先輩の家で、録画されていた「ドキュメント72時間」を一気観していた。この番組はいいよー。72時間、つまり3日間、ある場所にスタッフが張り込んで、そこに訪れる人々に話を聞いたり景色を撮ったりしてつくられる番組だ。ナレーターが回ごとに変わるのもいい。それぞれの語り口と声色を楽しみながら、世界のどこかにあるあらゆる場所を覗き見ることができる。

そして、取材へと訪れる場所のセンスがすごい。「真冬の津軽列車」「日本ダービーの開門前」「日本で唯一のうどん自販機」「10年に一度開かれるバイカーの撮影会」…日常で知っている場所が取り上げられることもあれば、知らない場所もある。そんなところ日本にあったの?って場所もあれば、誰もが知っている場所で3日間張り込んでいる回もある。そしてそれぞれ、勝手にどこにも行きつかない物語があるんだよなぁ。

ひとりにずっと密着するようなドキュメンタリーじゃない。ひとつの「場所」に密着しているので、ひとりひとりには背景を聞くくらいで、がっつり深掘りすることはない。(深掘りして聞いてみたい人だらけなんだけど)それがいいんだ。ほんとうにいろーんな人がいて、ほんとうにそれぞれで背景があることを自然と感じる。「ひとりひとりに人生がある」とか「他人も自分と同じように、人生がある」なんてことばではいくら言えたり聞いたりできても、ほんとうのほんとうにそれを感じることって、気を抜けば抜くほど人生にはないでしょう。

・ほんとうに、どこに目を向けるかなんだよなぁ。わるいところに目を向けたら、そりゃあたくさん見つかるよ。それはなにかを解決するきっかけになるかもしれない。けれど、そればかりじゃしんどいでしょう。大変でしょう。良いところも探して目を向けたい。そしてそれ以上に、いいとかわるいとか、そんな価値観に晒されもしないものをたくさん見ておきたいね。


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