止まったままの時間があります

*今日から、めっきり寒くなりましたね。なんだかんだまだあったかいなぁ、なんて思っていたのが、季節がちゃんと冬にうつった感じがある。これからぼくたちは冬のちょっときびしい寒さと付き合いながら、たくさんあたたまりながら、2021年の冬を過ごしていく。

きのう、電車の中で夏の曲を聴きたくなって、聴いていた。もうかさばるほどの冬服だし、もちろん寒い。でも、なんだか夏の曲を、その曲をよく聴いていた頃を思い出したくなって、夏の曲を聴いていた。そのまま電車の中で「まだ夏の曲を聴いてる 冬服であったかいのになんか寒くて」と短歌のタネのようなものをメモに書き残した。

*それなりに生きていると、じぶんのなかで「止まったままの時間」というのがある。あのとき、どうしたらよかったんだろう。この選択をしていなかったら、どうなっていたんだろう。みたいな、やり直しがきくならその瞬間に戻ってみたい、と思うような瞬間に、付箋が貼られている。そんな付箋はきっと誰の人生にもあって、戻れないことを知っているから、止まったままになっている。

止まったままの時間が、再び動き出すことはない。そんなことはもう、わたしもあなたも知っているね。でもその時間が止まったままなのは、今も動いていることをどこかで認めたくないのか、うしろめたいからなのか、自ずから止まったままにしているクチもある。

ぼくにとってはそのひとつが、夏の出来事だった。その夏が止まったままになったまま、ぼくは今から冬を過ごす。なんだかセンチメンタルな自己陶酔文みたいになってるけど、でも、誰しもの中で「止まったままの時間」が、あるんじゃないかと思ってね。ぼくは最近そんなことを誰かに聴くのが好きで、会った人に「人生の中でやり直したいことはありますか?」と聴いて回ってたりしています。

冬も好きだけどさ、春が恋しいみたいな感覚、あるよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?