大きさで一流を測る

*むかし、誰だったっけかなぁ、画家の友人に、こんな質問をしたことがある。「絵描きにとって、すごいの基準ってなんだと思う?きれいとか、絵が上手とか、それこそ稼いでるとかいろいろあると思うけど」と、まあまあ有名になりがちの友人に聞いたんだった。するとその友人はちょこっとだけ考えたあと、「大きさ、かな」と答えた。その答えがなんとも意外すぎて、ぼくは「お、大きさ?」とマンガみたいに聞き返してしまうのだった。

「上手とか綺麗とかお金を稼いでるとかより、どれだけおっきい絵を描いたか。オレは、それだと思うな」と、ストーンと言い放ったんだよね。それがもうかっこよかったし、なるほど!と思えた。大きさ、かぁ。たしかに、どれだけ大きい絵を描けるかってのは良い指標な気がする。

キャンバスに絵を描くのは、誰でもできる。しかしそこから絵を描くものを大きくしていこうと思うと、それなりの技術が必要だよね。まさか子供に「うちの店の壁に絵を描いてほしい」なんて言わないでしょう?それなりの技術と運があってはじめて、キャンパスから「壁」なんてののおおきいものにいける。さらに大きくなったら、建物に絵を描くってのもあるね。こいつは、なかなか大きい。そういう意味では、心斎橋にある黒田征太郎さんの絵はすごいもんだ。

この「なにをもってして、一流とするか?」みたいな考えに、友人の「大きさ」という答えはけっこう新鮮だった。それは、ぼくみたいなことばでも似たようなもんかもしれない。じぶんの書いた1文字1文字が、どれだけおおきいところで観てもらえるか?その文字の大きさは、どれくらいか?なんてので測るのも、おもしろい。もちろん、ちいさいものが悪いわけじゃないんだけど、広い舞台でなにかできるってのは、それだけで才能だったりするもんね。


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