話が上手な人。

*三人以上で話をしていると、特定のペアにしか分からない話がどうしても出てきたりする。最近観た映画が一緒だったり、共通の友人の話だったり、好きなあの子の話だったり。「それ」が分からないもう一人は、「うんうん」と相槌を打って聞くしかない。「それってどんなの?」と質問してくれる人もいれば、あえて質問せず、雨が止むのを待つようにただじいっと聴いてくれる人もいるね。

複数人で話している以上、こういう事態はよく起こるものだ。そのテーマが好きであればあるほど、熱意にかまけてその時間を長くしてしまう。ぼく自身、それをやってしまったことも、聴く側になったこともありすぎるくらいある。質問して自分にも共有してもらった上で話に入り込むことも、あえて黙ったまま聴いていることもある。

ここで「話の上手な人」ってのは、ウマいことやるよなぁ。そのテーマの話の本筋をひょいっと掴み取って、分からない側の人間にも共通したテーマで話を紡ごうとする。僕が思う「話が上手な人」は、これを自然にできる人だ。先日の、マイ地蔵がそうだった。ぼくにとってのお地蔵さんみたいな人だから、マイ地蔵ね。

最近ハマっている「ガンジーさん。」という連載の話を、ぼくとマイ地蔵のふたりで盛り上がっている時だった。その場にはぼくらをのぞいてもう三人いたのだけれど、その話はぼくたちだけで盛り上がっていて、それもそれでいいかと思って、ほったらかしにしていたのだ。それを察したマイ地蔵は、「こんな感じで、強烈にハマっているものって今ありますか?」と会話を繋げた。ぼくはその転換のスムーズさに、心の中で感動した。

まだ繋がっていない橋を見事に架けること、そのふたつに繋がる「橋」、つまりテーマを選び抜くこと、しかもそれが不自然でなく、気遣いだと悟られないこと。そのすべてがちゃんとあって、あれは見事な繋げ方だった。話が上手な人って、これが自然にできるんだよなぁ。ぼくも、このへんはしっかり磨いていきたい技術のひとつでもあるもんだ。


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