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69. わたし、高畑勲の死を受けて。

高畑勲が死んだ。
衝撃だった。
肺がんを患っていたなんて知らなかった。
ショックだった。

ジブリ映画が好きだ。
わたしが、自信をもって「好きだ」と言える
そんなに多くないもののうちのひとつだ。

高畑監督の作品のよさが
身にしみるようになったのは
わりと大きくなってからだった。

「おもひでぽろぽろ」のラストの方で
車に乗りながら、小学生だった頃の
自分の嫌な面を振り返りながら
主人公が涙するシーンがあったはずだ。
あそこが、ぎゅっと心をつかむのだ。

「かぐや姫の物語」は
本当に、本当に、泣いた。
両親はあの良さがあまり分からなかったようだ。
それは、幸せなことだと思った。
現代を生きる少女の、どこか
自分の有りどころがないような空虚感…
生きる喜びを描くと同時に、
その裏の、深い悲しみを描いているところが
好きだった。
色々な人を通して、本当に「人間」の愛も、愚かさも、心の痛みも、描いているように感じた。


当たり前にいつまでも
生きている気がしていた。
それが、ある日ふっと姿を消すのだ。
それが死だ。

同じくジブリの名作を手がけてきた巨匠にも
等しくいつか死が訪れるだろう。

順当に順番が来るとして
今お世話になってるあの人も
わたしの、父と母も
いずれ、死ぬ。

わたしが死を見送るのだろう。
その事実は、見ないようにしている
決定した未来。
不思議なくらい、必ず訪れるだろう未来。

その死をしょって、
わたしは生きるのだ。きっと。

死を見送るのは、誰であろうと、辛いなぁ。。

不思議なくらいふっと、消えるのだな。
命というのは………

心にぽっかり穴が空いたような気持ちで帰宅しテレビをつけると、自殺幇助罪で逮捕のニュースが流れていた。

惜しまれて消える命もあれば
自殺で消える命もある。

死、というのは
なんだかなぁ。。

わたしの命も、この胸に燃えていて
等しくいずれ消えるのだ。

それならわたしは、何のために生きるのか。
この命を、何の為に燃やそうか。

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