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起業する前に社会人経験をした方がいいのか、についての考察

私は起業して14年になりますが、起業しようとしている方(特に若い人)から「起業するにはある程度の社会人経験を積んだ方がいいのか」と尋ねられることがあります。今回はそれに関する一考察をお話したいと思います。

結論から言えばどちらでも良い

いきなり結論ですが、極論、どちらでも良いと思います。
学生のうちに起業するのも良いですね、なにせ「若さ」とそれに見合う「体力」があります。私が起業した時と違い、起業しやすい環境になっていることが後押しにもなっています。

もちろんじっくり社会人経験をして、いろんな業種の会社や従業員規模の会社を渡り歩きながら経験を積むことも良いですね。私は29歳で起業しましたが、それが早かったのか遅かったのかは正直分かりません。ただちょうど良いタイミングだったのかもしれません。

せっかくなら社会人経験するのも悪くはない

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私の場合、従業員1000名クラスの会社、社長含め4人だけの会社、そして20人クラスの会社と3社渡り歩きました。それぞれ良いところもあったし悪いところもありました。

最初の会社はとにかく何かしたいのであれば職制を通じて上長に稟議をしなければいけないこともあり、一人で会社を変えることはほぼ不可能ということが分かりました。この会社では「組織」についてよく学べたし受注から回収までのマネーフローを体験することができ、今の会社経営にも一役買っています。

そのあとの2社は直接の上司が役員だったので、役員と社員の会社に対する温度差が大きく、その間を取り持つポジションに自然な流れでなっていきました。それが功を奏したのか、会社内の雰囲気がよくなり、役員に対して対応に物が言えるようになったことに寄与することができました。

利用できるものは利用すべし

私の場合明確な目標として「30歳までに起業する」としていましたので、それまで歩んできた会社はすべて「起業のための経験値稼ぎ」と割り切って仕事に取り組んでいました。だから急な休日出勤だって日付を超える残業も嫌な顔一つせずこなしていました。会社からしたら良い人材だったことでしょう。でもある日「将来起業をするので退職します」と切り出したものですから、上長は驚きます。とは言え、明確な目標をきちんと話したので、みなさん心優しく送り出していただけましたし、今でもまだお付き合いがあります。

こういったことから将来起業することを明確な目標としているのならば、今いる会社でいろんなことを吸収し、利用できるものはぜひ利用していただきたいと思います。特に大事なのは業務フロー、つまり「受注から回収」のフローです。嫌かもしれませんが営業マンの経験があると結構強いです。私も最初の会社では営業マンをしていたので、その時の経験は今でも役立ちます。

ブラックな働き方も「イベント」と考えてみる

今までの会社は、今から思えばブラック企業に限りなく近かったのかなと思いますが、上でお話ししたとおり、私の場合すべてが「将来のための経験値」だったので、残業も休日出勤もイベントとして考えていました。
こういう経験を積むことで、自分が起業した時にはこういうことはやめよう、これはぜひ取り入れようという線引きができるようになります。
どんどん辞めていく会社にいるのなら「どうしたら辞めない会社になるのか」と考えますし、残業が多い会社にいるのなら「どうすれば業務改善できるか」と真剣に考えます。起業したら今までのマイナスの経験はすべて反面教師にして経営に盛り込むと、魅力ある会社に育っていくものと考えています。

チャンスがあるなら社会人経験は起業する上でマイナスにはならない

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私は就職超氷河期の世代なので、一度入社したら最後まで勤め上げるという風潮が多く、血眼になって就職活動をしてきました。とはいえ、私は起業が目標だったのであまり業界へのこだわりはなく、ただ鉄道系の会社に入れればいいなーと思っていましたが現実はそう甘くありませんでした。
結果としてこれから伸びるであろうIT業界に方向転換して渡り歩きましたが、本当に良い経験をたくさんさせていただきました。

今はだいぶ就職活動も有利な状況ですので、2〜3社くらい社会人経験をしても良いのかなと思います。不思議なもので、正社員としてやっていくには転職の回数が多いと信頼性が減ってしまうのが日本の風潮ですが、起業となるといくつか経験していた方が有利に働くことがよくあります。

何事も経験です。もし社会人になれるチャンスがあるのなら、それに乗っかるのも一つの手だと思いますよ。

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