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サプライズは要らない

半月ほど前の話になるが、オリンピックの野球競技の代表選手が発表された。そこから、菅野投手と中川投手が辞退して、代わりに千賀投手と伊藤投手(ルーキー)が追加招集された。サッカーのメンバーも似たような時期に発表されたが、それと比べると、世間(メディア)の納得感が薄いように思える。

野球とサッカーで出している成績の違いが関係してくると思うが、野球の場合は、個人成績に関して様々な数値が並ぶ。打者ならば打率、本塁打数、打点、盗塁など。投手ならば、防御率、勝利数、セーブ数、奪三振数など。メジャーの影響もあって、OPSやWHIPなどの数値も並んでいる。こうした数値が大々的に出るので、選手を選考するための根拠が多数ある状態なのである。サッカーは、ゴールとアシスト、出場試合数くらいで、個人の数値に関して、ポジションによってはそこまで重要視されていない気がしている。

メンバー選考に批判的な記事では、「今年調子のよい選手をなぜ選ばない?」といった論調である。たとえばオリックスの宮城投手、楽天の早川投手である。両投手とも今シーズンは個人成績の上位に来る選手で、選ばれれば今季の成績を反映したのだろうと思われたはずだ。しかし、「これまでの国際大会での実績を反映した」とある。中には調子の上がっていない選手もいる。それでも「残り1ヶ月で調子を上げてくれるはず」という期待を込めたコメントを稲葉監督は記者会見で残している。

話は変わるが、ゲームで新しいステージに突入した時のことを考える。新しいステージなので、敵の素性はよくわからない。戦闘シーンに入ってようやく敵の攻撃や特性などが明らかになり、その場で初めて「では、どうやって戦おうか」と考える。もちろん、事前に攻略サイトなどは見ていない前提だ。新しいステージに突入するとき、どのパーティーで挑むか?と考えたら、操作性や特徴をよくわかっているキャラクターを選ぶのではないだろうか。それで負けたら、じゃあ違うキャラを入れるか、と試行錯誤するのである。

国際大会にも似たようなところがある気がする。ましてや期待のかかる自国開催のオリンピックで、負けたら終わり。試行錯誤が許されない状況なのである。相手チームの映像があるとはいえ、基本的には戦ってみないとわからない。そうした時に、監督や首脳陣が把握している選手を使いたいと思うのは自然なことではないだろうか。相手のこともよくわかっていないのに、自チームのメンバーのこともわからないとなれば、使う側にとって決断できるポイントが減ってしまうことを意味する。刻一刻と変わる試合の状況に応じて決断を下すには、一つでも憂いを取り除いておかなくてはならない。ゲームのように能力値だけで判断することはできないと考えたほうがよい。

そんな形でメンバー選考を考えてみると、サプライズなんてないほうがいいに決まっている。サプライズで喜ぶのは、戦っていない第三者だけなのだ。

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