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レストランマジック:その目的って?

僕自身が飲食店でマジックをし始めたのは
19歳のころ。

たまたま上の人たち(マジシャンの先輩たちであり、いまだにお世話になっています)がとあるお店からいなくなる時でした。

そのころは、まだテーブル横にマジシャンが来てマジックを見せてくれるなんてサービスをやっているお店も少ない時期です。
メジャーではないという事は、あまり高いフィーを要求できない状態でもあったと思います。

もちろん、マジックの世界においては、レストランでマジックをするというのはビジネスの1つとして知られてはいましたが、まだまだエンターテイメントが今ほど柔軟ではなかった時代です。

諸先輩も四苦八苦しつつそういった場を開拓していってくれたのだと思います。

話を戻せば、たまたま人員的に空きができるから、やってみるか?
という事でお話が来て、それに対して何も考えないで手を挙げた感じです。

大学のサークルでマジックを学んでいた程度で、一般のお客さんを前にしてお金を頂いてマジックをするなんて、もちろん初めての経験です。

ちなみに、テーブルからテーブルに次々とマジックを演じていくスタイルを「テーブルホッピング」などとも言われます。これは別に飲食店において行うスタイルに限ったことではなく、例えば懇親会のような場にエンターテイメントとして呼ばれた際などもこういったスタイルになることが多いです。

さてさて、そこからそのお店でマジックをさせていただくことになるのですが、その当時珍しく、そのお店はほぼ毎日マジシャンが入っているお店でした。

ですので、僕の入っている曜日以外にも、マジシャンはたくさんいて
ただその当時に、その場にお客さんとして足を運べるほど、学生が行くには少々敷居の高い場所ではあったために他の方がどのように行っているのかを勉強しに行くことはできなかったです。

僕をそのお店に紹介してくれた方も、僕が初心者なことは分かっていて
ですので、その前にという事で、都内のマジックバーへ連れて歩いてくれました。要は、見て勉強しろという事です。

これに関しては、今でも感謝をしています。全く知識無くいくよりも格段に「齟齬」が生まれなかったでしょうから。

その当時に連れて行ってもらったのは、銀座の「ジョーカー」と「ぽいんと」でした。「ぽいんと」は後年ほぼレギュラーのようになり出演もさせていただいたのですが、僕が最初に行ったことにはマスターもご存命で。お酒に楽しく酔いながらマジックをしていたのを思い出します。

ボックス席ではミリオンカードまで演じていらっしゃり、何というか銀座の大人な社交場的な部分を体験させてくれました。

「ジョーカー」も出演させていただいた事がありますが、カウンターの横数名をいっぺんに相手にしてマジックをするというのは、単にマジックを演じるという事とは、またちょっと別なスキルになってくるなど勉強になった場所です。

さて、話は僕のはじめてのレストランマジックのことに戻ります。

その当時の僕は、マジックそのものにはそれなりに自信がありました。
今の僕が見たとしても、恐らくマジックそのものに関しては、この子はよく知っているな、と思うでしょう。

ただ、決定的な事柄が抜けていました。

そしてそれは、今の若い人やレストランマジック初心者の方には抜けてしまいがちな事柄です。

ただ逆にこのことが分かっていれば、恐らくどんな仕事をしたとしても上手く行くことでしょう。抜けていたことは・・・

「あなたの仕事は何ですか?」

という事です。

もしこの記事をお読みになっている方で、マジックを演じていて
レストランなどでマジックをしてみたい、という方は
本当にまず1度このことを考えてみた方が良いでしょう。

残念ながら先輩方は、はっきりとした言葉で教えてくれなかったことです。
たまたまテレビで見ていて、僕も学べたことでしたので。

正直、この答えは1つしかありません。
「あなたの仕事は何ですか?」⇒ 人のお役に立つことです
もし上記質問に「マジシャンです」と答えたとするなら
「それは職種であって、仕事そのものではありません。」
というのが返す言葉になります。

仕事の本質はただ1つ、人のお役に立つことです。
これをする限り、それは仕事になり、お金を発生させることができる
事柄になります。

そしてさらに一歩進めて
「ではレストランマジシャンは、どうやってお店の役に立ちましょう?」
これがとても大事なところです。

これもたった1つしか答えがないと思います。
まずレストランは
「食事をしてもらう場」であることは当たり前として
「食事をしてもらうことで、お金を頂く場」なのです。

つまりは経済活動をしている場です。
お金が稼げないなら、そのお店が存続できないのですから。

となると、レストランの役割はたった1つ
レストランマジシャンがいることで、お店の稼げるお金の量が増える
という事です。

レストランにいるスタッフ側の人たちは、このシンプルな事柄を
行うためにいる人たちであり、個々の想いはその次に来ることです。

レストランマジシャンなら
マジックがしたいのは自分の想い。
大切なのは、自分がいることでレストランが儲かること
これをどういった手段で行っていくのか
いつでも意識してその場にいないといけないってことです。

僕自身、この辺の事を、若い間にはっきりと言葉で
教えてもらえればもう少し振る舞いが違ったのに、と思っています。

ですので、たまたまでもこの記事を読んだ、若きマジシャンが
現場において、無配慮で無鉄砲なマジックを行わないようになり
まわりの人たちから必要とされてマジックを演じられるように
なってもらえれば、と願います。

あなたの仕事は何ですか?
レストランマジシャンが行うべきことって何ですか?

まあ、どんな仕事でも一緒なのですが、ちょっと立ち止まって
考えてみてもいいんじゃないですかね。

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