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レストランマジック:トリック選定10の基準(その6)

トリック選定の基準も第6段目です。

レストランやバー、ストローリングなどでのマジックに関して
どのようなものが適しているのか、その基準です。

もちろん、基準を理解したうえで外してくるのはアリです。
でも、基準も何もない状態で現場に出て行っても
討ち死にしたり、お客さんからの厳しい言葉で心に傷を負う(笑)
ということになり、マジックが嫌になるなんてことに
つながりかねませんので。

マジシャン側の精神衛生上の部分を健全に保つためにも
こういった基準を持っておくことをお勧めします。

さて、第6段目は非常に分かりやすいです
「角度に注意」
という事です。

基本的に、レストランなどの場にいる場合には
360度見られてしまう、という事を意識しておいた方が
いいでしょう。

ただしですね、ベテランになってくると、実際なら見えるものが
お客さんからは見えなくなるって現象も起こりますので
経験値を高めると、案外角度も自由度が出てきます。

それは先の話として、角度の注意というのは
理解は簡単だと思います。

ただしレストランなどでは、かなり複雑にこの角度の注意が
必要になってきます。

左右の角度だけではなく、上下の角度もあるからです。
テーブルについて、椅子に座っているとして
どの辺に目の高さがあるのか、どれくらい鶴翼に広がっているのか
その辺の事を、慣れた人は一瞬で感じ取り、また感じ取ったものが
ほぼ正確です。

カードをパームしているとして、右手にパームなら自分から見て
左の方の人からは見えやすくなるわけですが、それをどうするのか?
等にもなってきます。

技法単体、トリック単体で見ると角度に弱くても
演技を作り上げることで、角度に強くなるなんてことに
なりますので。

こうなってくると、かなりセンスが関わってきますので
感心してしまう人もいれば、思わずため息が出てしまう人も。

これは座っている際のラッピングにもかかわってくるかと思います。
まあ、これは角度とはちょっと違うので、これまた別の機会に。

角度で言えば、昨今流行りの?スナップディールですが
考案者のレナートグリーンくらい上手くって、手のデカい人なら
結構近くからでも見えません。

でも、通常の日本人の手のサイズで、経験値もそれほどないなら
(この場合の経験値は10年単位での演技経験くらいです)
まあ、レストランのテーブルで演じるのは難しいでしょうね。

いや、よっぽど体を傾けて、右の方を思いっきり出して
「お前は東山の金さんがもろ肌脱ぐ直前か!」
みたいな体勢を続けているなら別ですが(笑)。

カードが見えない事と、自分がおかしく見えることと
どちらを取りますか?ってなってきている感じで。

もちろんそれで「カードが見えない事!」ってなっているなら
その体勢で構わないのですが、不思議が伝わる前に
笑われるのでは?ってことを覚悟しておくことですね。

リアルの場とテレビの向こうの世界は
今でも少々違いますので。

さてさて、角度の事を考えると
やっぱり案外クラシックなトリックは骨太で丈夫なわけです。

リングなども角度に強く見えやすかったり
ロープも結構後ろから見られても、大丈夫です。
(少なくとも、僕は3本ロープを後ろから見られていても演じます)

意図的に見えそうな部分を体などでシャットアウトしてしまう
という手もあるのですが、まずは強烈に角度限定があるようなトリックは
避けておきましょう。

そしてもう1点、わざと後ろに回るお客さんとかいますが
僕は別に気にしません
なぜならミスディレクションで大抵は大事な部分が隠されるので。

ただ、正面から見た方が楽しいものだとは思っていますので
1回くらいはそのように促します。
ある種のオーディエンスマネージメントかと思います。

その際に、自分自身が
「正面から現象を見た方が楽しいですよ!」
と思えることは重要です。

「種がばれるので、前に移動してください」
という感情が先になると、お客さんは動きません。

台詞としてはそのように言う事があります。
なぜなら、その方が面白いからです。
(所詮、人は人が困っている所を見るのが好きなのです)

でも、どっちに居られても問題ないくらいの自信や
正面から見た方が格段に面白いと言える自信があれば
言葉の端々、態度の端々から、その自信は相手に伝わり
後ろから見る意味が無いことを悟ります。
(ある程度のセンスがある方は、です)

ただ、手品をするだけでも実際には大変なのに
そういったことを意識していると、余計に大変ですので
出来れば苦労をしたくないので、アングルプルーフなものを
演じることをお勧めします。


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