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他分野からマジックへ、ノウハウの活用の面白さ

毎度おなじみ、レストランマジック研究所小林です。

僕自身、19の時からマジックを始めたので
比較的遅いスタートだと思います。
ただ、いわゆるプロ活動をし始めたのはスタートから半年後
とただただ無謀な状態でした。

ほら、若い時ってマジックしたいじゃないですか?
で、たまたまチャンスがあったので、それをたがわず
つかんだだけでしてね。

そんな若造に仕事を振った人もすごいですが、結局は何があろうと
つかんだ僕の自責の事柄なので、何も後悔はありません(笑)。

さて、若いころはマジックだけで突っ走ってこれました。
ある意味でマジックで相手を押しとどめるようなそういった
演技だったのだと思います。

スピードと現象でどうにかする、という感じでしょうか
マジックって圧倒させやすいですからね。

その後いろいろあり、マジックから遠ざかるタイミングもあって
長い充電期間を頂いた後、ありがたいことに演じるチャンスを
頂けることになりました。

その際には年齢も年齢で、そんな若い時のパワーゲームの
マジックが似合わないスタイルのマジシャンになっていたのです。

すごく簡単に言ったら、40に届きそうなオジサンが
チャラい感じでマジックしていたり、似合いもしてない
明るい色のジャケット来て騒いでいたら、単純に気持ち悪いでしょ?

受け入れてもらいやすくなるため、今まで以上に「普通」を
意識しましたし、マジックを武器にしないことを意識しました。

もちろん、それは恐怖なわけで、今までマジックという武器を
持って戦っていたわけですが、できるだけそれを使わないで
となると、自分の身体を鍛えるしかなくなります。

本当に鍛えるわけではないですよ!
武器になるような、そういったモノを持たないと
と思ってくるわけです。

そうなると、他分野の勉強をしますよね。
分かりやすい所では、コミュニケーションや心理学です。
市販の本を読む程度ですから、内容は薄かったり、初歩的な
モノなのですが、それでも知らないよりはいいでしょう。

裸でいるより「たびびとのふく」を着た方が防御力が上がります。

そういった勉強の中で、コールドリーディングとか催眠誘導
印象の操作とか人間の認知とか、ちょっと専門的な部分の
知識を知るようになり、自分の演技の中に取り入れていくわけです。

例えば、人間の認知では
「ゆっくり動くものの方が強そうに見える・思える」
というのがあります。

映画などでも、ラスボスって、最初はゆっくり動くイメージ
ありませんか?それに声が低かったり、ゆっくりしゃべったり
全体的に「焦ってない」感じがスピードに出るわけです。

30代の若造が、銀座で多少は受け入れてもらうために
少しでも大きく見えれば、となるなら、こういった認知を
活用したいと思うわけです。

テーブルアプローチの速度を変えたり、お客様と話す速度を
コントロールしたり、そういった実験を繰り返すわけです。

若い人がお年寄りに受け入れてもらえない理由の一つは
その「スピード感」の差です。
これを変えるだけでも、格段に相手の受け入れ方が変わります。

また、相手から見てどのようなポジションに見えた方が良いのか?
等も。かわいい後輩? ごりっごりのマジシャン? 同僚?
お店の店長さん? 通りすがりのお兄ちゃん?

単にいい服着たって、年齢(正確には見た目?)と合わないと
違和感しかないわけです。
だったら、年相応+α位のものにしておいた方が良いのかもしれませんし。

また自分のマジックを買ってもらわないと、生きていけないので
セールスの勉強なども、マジックに活きてきます。

別に、その場で売り込むってことではなく
相手との関係性構築とか、とはいえ売るときにはきちんと
クロージングをかけられるようにするとか。

こういった部分って、勉強すればするほど面白いですし
一般的な書籍よりも、本屋では売られないような
そんな本の方が、具体的で生々しく、興味深いというものだったり。

バーやレストランで出会う、初めての方々に
少なからず親近感を持ってもらったり、マジックではなく
マジシャンの僕に興味を持ってもらったり
コミュニケーションが得意ではない僕は、ある種のスキルというか
テクニックのようなものを意識的にそこで活用してきました。

多分マジックだけ学んでいたら、ここまで長く
マジシャンでいられることはなかったでしょう。

マジックではない分野のフィルターを通してマジックを見る
または意識的に活用するということができたので
マジシャンでいられるような気がします。

ぜひ、これをお読みになった方々も
他分野からマジックをのぞいてみると、色々と
気づけることがあると思いますよ。

僕の他分野学習に関しては、こちらにも
⇒ 説得の心理技術:エモーショナルな選択

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