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「野垂れ死に」 著:藤沢秀行 を読んで


とても痛快な本でした。

知る人ぞ知る、囲碁界隈の無頼漢。

故 藤沢秀行翁。

その生き様は強烈な魅力を持ちます。

大酒を飲む、博打で莫大な借金をする、女遊びもする。

それなのに碁はめっぽう強い。

棋聖戦6連勝。

文字通り寝ている時以外碁のことを考え、誰よりも碁の研究をした人物。

本人曰く、

「『酒さえ飲まなければもっと大きな仕事ができたのではないか』

私の生き方を見てそう思われる方がいるとしたら、私はこう反論したい。

酒があったからこそ、あれだけの碁が打てたのです」

本性が真面目すぎるがゆえ、いっときでも完全に碁のことを忘れなければ、大好きな碁が煮詰まってしまう。

だから、碁のことを忘れられるくらい強烈な何かにハマる必要があったそうです。

それが、酒、博打、女でした。

碁への情熱から国内外問わず後進の育成にも努めました。

そんな彼の生き様は強烈な魅力を放ち、今でも根強いファンが多いです。

なぜ、彼の生き様はこれほどの魅力を放つのでしょうか。

それは、人生に与えられた清濁を全て受け切っていたから、だと思います。

「夜と霧」のV.E.フランクルに言わせる、

「人生が何を彼に期待しているか」知っていたから、だと思います。

好きな碁に強烈な努力をし、好きがゆえにライバルにも碁を教え、教えた相手に負けることもあった。

さらに、碁で張り詰めた緊張を緩和させるために酒、博打、女に強烈にハマり、3度のガン、家庭問題、大借金、アルコール中毒との戦い、多くの事件を起こし、その反動に苦しんだ。

しかし、どれも一切やめようとせず、自ら苦しみを大きくしているようにも見えます。

人生が彼に与えた、長所も欠点も、碁が好きだという気持ちも、苦しみも、自ら進んで引き受けています。

その積極的な姿勢が魅力を放つのでしょう。

そんな彼のような生き方をしたい。

とは言え、アルコール中毒や女たらしや博打うちになりたいわけではありません。

人生に与えられた問いから逃げず、自ら答え、受け切る人生を送りたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

今日もあなたにとって良いことが雪崩のごとく起きますように!

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