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夏イチゴ試験栽培2023 栽培環境続き

当初から最大の課題は、真夏の高温対策

夏イチゴ試験栽培では、長野県で夏イチゴ栽培をしている生産者を訪問し、栽培環境(特に真夏の高温対策)についてお話をお聞きした。 冬春いちごの農家としては、設置装備に馴染みのない対策を取っていた。具体的には、以下の様に、ビニールハウス内で取りうる様々な設備を装備していた。  ●「ミスト機器」によるハウス内冷却、適宜運転
● 自動開閉の内張り遮光カーテン、午前11時頃からの日中最高温度時間帯 
    の遮光によるハウス内温度低下
●  点滴チューブのハウス床での水の散布。蒸発気化熱による温度低下
●  電照設備:夏イチゴは夜間照明により、高温期に花芽分化がやりやすく
 なると言う考えが関係者内で共有されていた。

夏イチゴ試験栽培2023では、菜園@リゾートライフの栽培スタイルに沿うために最低限の高温対策で試験栽培を行うこととした。

栽培設備①
高設ベットは、発泡スチロール式とハンモック式の2種類を施工


発泡スチロール式

上図は、発泡スチロール式の高設ベットのスケルトン。東北地方の農業関係の研究所では、真夏の高温期になると発泡スチロール式だと、培土温度の上昇時に放熱する仕組みがないため以下のハンモック式を推奨している。(いくつかの文献がある) 長野で見学した夏イチゴ生産者の高設ベットはハンモック式。


ハンモック式の高設ベット

施工上の工夫の問題かもしれないが、発泡スチロール式は固定培土量となるが、ハンモック式は培土量が可変となるため、培土が多い方が、高温対策になるのか? それとも少ない方が有効なのか? 文献検索では結論を得られなかったため、ハンモック式では、発泡スチロールより少し大きめの培土量となるように施工した。

真夏の高温時に、発泡式とハンモック式の培土温度の比較をしたが、日射量の違いが2列の高設ベットにあったため、有意な培土温度の違いは観察できなかった。

栽培設備② 床面は防草シートの代わりに人工芝を敷設

防除は有機アプローチのため、床面からの防虫侵入の防止

栽培設備③ ビニールシート面の最小化、風通を良くする仕掛け

 

小型ビニールハウス

夏イチゴ試験栽培2023では、市販の8畳サイズのビニールハウスを使ったが、通常は腰巻部分、開閉ドア部分等は、ビニールシートで被覆するが、腰巻部分、開閉ドア部分を全て、防虫シートとすることで、風通しを良くして高温対策とした。

栽培設備④ 赤外線反射シートの敷設

夏の高温対策として、赤外線反射機能をもったビニールシートを購入。ビニールハウスの屋根部分を2重被覆した。効果を実測したが数度程度のハウス内温度低下の効果はあった。

栽培設備⑤ 遮光シートの敷設


遮光シート

光合成のために日射量を考慮し、3月定植当初から、上図のシートによる遮光はしなかったが、ハウス内温度が最高温度40-45度となった7月から、上図の遮光シートを敷設。光合成の日射量としては20-30%カット。但し、文献によると、いちごの光合成飽和点の日射量が半陰性植物のため低いところにあるので、日射量より温度低下で出来る事を優先することとした。

ハウス内の日中最高温度は4月より30度超、7月からは40-45度超で推移

収穫実績については、別のコラムで詳細に報告するが、5-7月期間中の最高温度30度超にも拘わらず、大粒の早期収量+L, Mサイズの上物収量が上げられたが、8月後半以降に、本環境下では収穫果実の小粒化が顕著となった。

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