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桜の季節に(Ⅱ)

桜は見に行くのではなく会いに行くものだと書かれたエッセイに胸にストンと落ちるものがあった。

30数年前、サウジアラビアの小さな漁師町,ジュベールに暮らしていた頃。春になるとなぜか無性に日本が恋しくなった。

一年中暑い国では花は色鮮やかで大輪。それなりに美しかったが、空も桜色にかすむ柔らかな色合いの桜に会いたかったのだと。

桜の季節に必ず会いに行く樹が2本、私にはある。1本は大徳寺聚光院、伊東別院のしだれ桜。

2020年にEテレで放送された"ひなたの氷92才 桜守の遺言”。2019年の台風15号で倒れた大徳寺聚光院伊東別院の枝垂れ桜の再生を手がけた京都の桜守16代佐野藤右衛門の桜の物語。

わずかに残された根の部分に渾身の想いで命を吹き込み、再生できるかどうかは樹の持つ生きる力と愛おしそうに幹に触れる姿が印象に残った。
昨年何輪か花をつけ再生の兆しが。

今年、こぼれんばかりにつぼみをふくらませ、今、満開!

遠く望む海からの潮風に吹かれ、柔らかな春の日差しをいっぱいに受けて光り輝く美しい姿。

藤右衛門から贈られた漠眼桜、やや大ぶりの花をたくさん咲かせた。
16代佐野藤右衛門に深謝。





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