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【本レビュー】本日発売!ジョブズ、シュミットの伝説コーチ『1兆ドルコーチ』エリック・シュミット著


こんにちは、レゾナンスリーディング、渡邊康弘です。

いやぁ、しびれました。

良書いや名著というのは、読み終わるのが名残惜しい。そんな素晴らしい一冊があります。本日紹介の一冊は、今年洋書で読んだ中でも、しびれた一冊!

『1兆ドルコーチ』です。

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原書は、今年の4月に発売されて、私もキンドルで読み、さらに、ペーパーブックでも仕入れ、じっくり読んでいた本です。

私の師匠の神田昌典さんも原書を先日推薦していて、いやぁ、まさに旬な一冊ですね。

著者は、グーグルの元会長のエリック・シュミット。そして、前作『How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメント』同様に、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグルと組んでの一冊になります。

この本では、表紙にも書かれているようにシリコンバレーのレジェンド、ビル・キャンベル氏について書かれた一冊です。

ビル・キャンベル氏は、元アメフトコーチでありながら、ビジネス界へと転身し、アップルのスティーブ・ジョブズ、グーグルのエリック・シュミット、ラリーペイジ、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ、アマソンのジェフベゾスをはじめ、

IT界の大御所たちのコーチとして活躍した人物です。

これらの大御所たちのコーチなわけですから、読まない手はないですよね。

今のシリコンバレーの成長があるのも、ビル・キャンベル氏のおかげ、そういっても過言ではないほど、その敬意を表し、1兆ドルコーチというタイトルになっています。

本書は、ただの概念的なビジネス書ではなく、実践的な内容になっています。ビル・キャンベルという人物が、どのように、一人ひとりと向き合い、

どう語り掛け、信頼と誠実と愛を表現し、業界を成長させていったのか?

このことが具体的にわかる一冊となっています。

会社の経営者や、いま、マネジャーやリーダーで、人間関係や、会社の文化で悩んでいれば、その最適解のヒントがこの本を読むことによって見つけられるかもしれません。

それでは、心に響いたポイントを見ていきましょう。

彼は自分がコーチするすべてのチームに「心理的安全性」「明瞭さ」「意味」「信頼関係」「影響力」を育むために、労を惜しまなかった。
書店には、自助本(セルフヘルプ)のコーナーがあるのに、なぜ人助け本(ヘルプアザーズ)のコーナーがないのだろうと、シェリル・サンドバーグと私(アダム・グラント)はいつも嘆いている。
本書こそ、人助け本のコーナーにふさわしい一冊だ。
この15年間に、ビルの助言はグーグル全体に深い影響をおよぼした。
プロダクトや戦略に何か思うところがあったとしても、彼はたいてい胸のうちにとどめた。むしろチームのコミュニケーションが取れているかどうか、緊張や対立が明るみに出され、話し合われているかどうかに気を配り、大きな決定が下されるときは、賛成しようがしまいが全員がそれを受け入れていることを確認した。
ビル・キャンベルは、グーグルの成功にとって最も重要な存在の一人だったと断言できる。
スマート・クリエイティブとは、専門性とビジネススキル、創造力を兼ね備えた人材をいう。
スマート・クリエイティブを生かす環境と同じくらい重要な要素がもう一つある。
それは、さまざまな利害をまとめ、意見のちがいは脇に置いて、会社のためになることに個人としても集団としても全力で取り組む、「コミュニティ」として機能するチームだ。
本書では、ビルが何をコーチしたか(コーチングの内容)とどうやってコーチしたのか(コーチングの方法)の両方を考えていきたい。
まず、ビルはスタッフとの1on1ミーティングや難しい従業員の対処といったマネジメントスキルをどうやって細部に至るまで正しく実践していたか。第2に、ビルは一緒に働く人たちとどうやって信頼関係を築いていったか
第3に、彼はどうやってチームを構築していったか
最後に、ビルはどうやって職場に会いを持ち込んだか
「ビル、肩書きがあれば誰でもマネジャーになれるけど、リーダーをつくるのは部下よ」
「旅の報告」から始める
目的は二つ。チームメンバーが家庭や仕事外の興味深い生活を持つ人間同士として、お互いを知り合えるようにすること。二つめは、全員が特定の職務の専門家や責任者としてだけでなく、一人のグーグラーや人間として、最初から楽しんでミーティングに参加できるようにすること「1on1を正しくやる」と「スタッフミーティングを正しくやる」が、彼のマネジメントの最重要原則の筆頭にあった。
「全員に共通認識を持たせ、適切な議論を行い、意思決定を下すために、ミーティングを利用するんだ」
議論すべき「トップ5」を挙げよ
ある日メリッサはビルに、新しい方針を与えられた。チームと問題を話し合うとき、君はいつも最後に話すようにしろ。君は答えを知っているかもしれないし、それは正しいかもしれないが、答えをただ与えるだけでは、力を合わせるチャンスをチームから奪ってしまう。
この決定にかかわる第一原理は何だろう?
大多数の人にとっては報酬イコール金額だ。
だがそれがすべてではない。報酬は経済的価値だけでなく、感情的価値の問題でもある。報酬は会社が承認、敬意、地位を示すための手段であり、人々を会社の目標に強く結びつける効果がある。
人は誰もが真価を認められたい生き物だということを、ビルは理解していた。経済的に安泰な人も、例外ではない。数千万ドル、数億ドルプレーヤーが、次の巨額の契約を得ようと奮闘するのはそういうわけだ。お金のためじゃない、愛のためなのだ。
会社の存在意義は、プロダクトのビジョンを実現することにこそある。
適切なプロダクトがあり、適切な市場に適切なタイミングで提供できるなら、可能なかぎりは早く世に出せ。小さな問題やすぐに対応が必要なこともあるだろう。
だが、とにかくスピードが肝心だ。
「天才」とうまく付き合う
ハイパフォーマーだが扱いのむずかしい「規格外の天才」には寛容であれ。守ってやりさえすべきだ。
去る者に敬意を払う
辞めていく人たちを丁重に、敬意をもって扱い、解雇手当をたっぷりはずみ、彼らの功績を称える社内メモをまわすんだ。
辞める人を手厚く扱うことは、会社に残るチームの士気と精神的安定を保つためにも大切だ。
オペレーション・エクセレンス(現場の業務遂行力の卓越性)、
ピープル・ファースト、決断力、すぐれたコミュニケーション、最も厄介な人材から最大限の力を引き出す、優れたプロダクトへのこだわり、解雇する人を手厚く扱うという原則である。
信頼とは「約束を守ること」だ。
信頼とは「誠意」だ。
信頼とは「率直さ」だ。
信頼とは「思慮深さ」だ。
自分は安全で支えられていると相手が感じていることを確認してから、
『ところで」と言ってフィードバックを与える。この方法はビルから学んだ。彼はいつも相手の力になる方法でこれを行っていた

「すべきこと」を指図するな
物語を語り、自力で最適解にたどりつけるように導け
「CEOの立場に立ったら、いままで以上に人に賭けろ。チームを選べ、人とチームのことをもっと考えろ、と」
ビルは4つの資質を人に求めた。
まずは「知性」。これは勉強ができるということではない。
さまざまな分野の話をすばやく取り入れ、それらをつなげる能力を持っていることだ。ビルはこれを「遠い類推」(かけ離れたものごとをつなげる発想)と呼んだ。
そして「勤勉」であること。「誠実」であること。そして最後に、あの定義の難しい資、「グリッド」を持っていること。
ビルはこの4つの資質があると思える人には、ほかの多くの欠点に目をつぶった。
ペアで仕事に当たる
小さな「声かけ」が大きな効果を持つ
「5分間の親切」をする
彼は愛情や思いやり、気づかい、やさしさの文化をつくりあげた。


人材ファースト、ピープルファーストなスタンスが事業成長につながっていくことを示した一冊だった。特に、心に響いた部分はここだった。

去る者に敬意を払う
辞めていく人たちを丁重に、敬意をもって扱い、解雇手当をたっぷりはずみ、彼らの功績を称える社内メモをまわすんだ。辞める人を手厚く扱うことは、会社に残るチームの士気と精神的安定を保つためにも大切だ。

私はコンサル先のクライアントに必ずいうことがある。
それは、「人が会社を辞める時、会社が人を辞めさせる瞬間に、会社、組織の文化ができる。」というものだ。
事業成長する企業は、人が辞めるときに、本書で書かれているように

敬意をもって、手当も充分に、送り出す。
反対に、事業衰退していく会社は、人が辞めるときに、功績を奪い、喧嘩別れのようにする。
能力がある。活躍した人材ほど、お金ではなく、会社、組織への愛で動いている。

大多数の人にとっては報酬イコール金額だ。
だがそれがすべてではない。報酬は経済的価値だけでなく、感情的価値の問題でもある。
報酬は会社が承認、敬意、地位を示すための手段であり、人々を会社の目標に強く結びつける効果がある。
 人は誰もが真価を認められたい生き物だということを、ビルは理解していた。経済的に安泰な人も、例外ではない。
 数千万ドル、数億ドルプレーヤーが、次の巨額の契約を得ようと奮闘するのはそういうわけだ。
お金のためじゃない、愛のためなのだ。


ここにも描かれているように、一時期良かったのに、業績が悪化するところは、不当に報酬を値引いたり、給料を低くする。

そして、事業オーナーは、会社の利益をスタッフや関係者に気前よく分配するのではなく、自分の懐へといれる。車はまだしも、家やマンション、よくわからないものに使い、経費を落とす。

ビジネスは難しい。特に立ち上げて間もないころは、関わる人もアドバイス人も、その規模の会社だからと、正規価格よりもやむをえず下げて行う。

いつか、業績がよくなったときに、正当に評価されることを信じて、そう行う。

しかし、残念なことに多くは、正当に評価される日はなかなか来ない。業績上がる頃には、多くの経営者の心は変わり、自分の懐へといれる。もしくは、違う業者へと乗り換える。そして、衰退する。

反対に、伸びる企業は、いまのスタッフ、取引先と一緒に成長し合い、
あの時、払えなかったからと正当な金額を支払い、関係を続ける。

それも、関係のために、わずかな仕事を与え、縁を続けさせる。

この本には、人として、ビジネスとどう向き合い、そして、事業を伸ばし、

コミュニティを豊かにする、その哲学が書かれている。

まさに、現代の「論語と算盤」というべき一冊だ。

渋沢栄一の再来は、日本ではなくシリコンバレーに出現していたのかもしれない。

すごくおすすめ!ぜひ、手に取ってほしい。

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