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600万円位から感じる、運用手数料1%の壁。

ロボアドやアクティブファンドは運用コストが高い。

 投資初心者に頼れる存在のロボアドバイザーや、インデックス運用に物足りなくなった玄人向けのアクティブファンドにありがちな1%前後の運用手数料だが、仮に時価総額が600万円で1%の手数料が発生すると年間6万円。月換算で5,000円もの資産が手数料で消えて行くことになる。

 リターンは不確実だが、運用手数料は確実に徴収される。大事なことなので、何度も記すが、運用手数料は安いに越したことはない。

 私も積立している投資信託のeMAXIS Slim米国株式の運用手数料は0.09%で、隠れコストを加味しても0.2%程度。米国株式のインデックスファンドでも、サービスやファンドによっては1%前後の運用手数料を取っているところがゼロではない。

 似たり寄ったりの金融商品で毎月確実に出て行くコストが月5,000円か、月1,000円かでは大違いである。手数料の差額だけで、毎月叙々苑のランチが食べられる程度に差がある。

 かつての私がそうだったように、資産運用に慣れていない一般人は、運用手数料1%の数字以上の大きさが分からず、銀行や保険の営業マンに勧められるがままに金融商品を契約してしまう。どんなものでも、相場を知っておくことが、騙されないための処世術と言えるだろう。

 相場より明らかに高いものは、ぼったくられてカモにされている可能性が高いし、相場より明らかに安ければ、何か見落としている罠があると思った方が良い。

おまけに釣られると本質を見失う。

 投資初心者の頃に勉強がてら転がしていたWealthNavi forソニー銀行では、時価総額が500万円を超える場合、優待プログラムSの特典として、デビットカードの還元率が1.5%に上昇する。

 それを目当てに500万円を超える位までは転がしていたが、WealthNaviの特徴として、良くも悪くも、分配金の入金額や、手数料の出金額が履歴で見れることで、株式や債券、不動産などから分配金が得られても、そのほとんどが運用手数料として消えていっている状態が目についてしまった。

 つまり、増加しているのは元本部分だけであり、分配金再投資による複利の恩恵を受けたいのであれば、運用手数料1%と言うのは相殺される程度に高い部類であり、あまり良い選択肢ではないことを身を以て体感したのである。

 冷静に考えて、デビットカードの還元率を0.5%上げるために、毎年5万円超の運用手数料を支払うことを考えると下手なステータスカードよりも圧倒的にコスパが悪く、低コストで生活している身としては、大量消費しなければ高い還元率の恩恵も得られず相性が悪い。

 優待プログラムの仕様上、3月、9月の判定さえクリアしてしまえば、半年間はゴールドステージが維持されることを事前に把握していたので、その月にゴールド判定を獲得したのを機に、WealthNaviを全額出金。年会費無料で還元率1%超のクレジットカードと、運用手数料が0.2%以下の投資信託の組み合わせに切り替えて、ロボアドバイザーを卒業した。

 私は、おまけに釣られて資産運用の本質を見失い、資産形成最大のヤマ場でもある、ゼロから500万円に到達するまでの道のりを遠回りしたのである。だからこそ、目論見書の隠れコストまで確認するように成長した意味では、運が良かったと捉えている。

分配金再投資は利益と税金も繰り延べられる。

 WealthNaviで株式、債券、不動産、金のリスク許容度に応じた資産配分や、情勢による資産の増減具合、リバランスのタイミングなどを3年程度観察してから、eMAXIS Slim米国株式に一本化した後は、目論見通り複利の恩恵を実感できるようになった。

 自身の置かれた状況を鑑みて、収入が安定的な会社員で20代単身と、大きなリターンを狙いリスクを取って失敗しても生活に困窮するような大打撃はないと考え、ここ数年のリターンが良かった米国株式と、表向き0.09%と最低水準の運用手数料を兼ね揃えるeMAXIS Slim米国株式に集中させた。

 結果として、2〜3年で1.5倍程度に資産が増加していることから、この判断で問題がなかったと思っている。もちろん、リターンと同じくらいの含み損が出ていたリスクがあったことは理解した上で、問題ないと判断している。

 実際、疫病による恐慌により、1週間足らずで新卒社員の手取り1年分程度の暴落に見舞われたが、長期的には右肩上がりで資産が増加することを信じて、狼狽売りをするようなことはなく、平常心を保つことができていたのである。

 そして、低廉な運用手数料により、分配金再投資が働くことで、複利の恩恵を実感するだけではなく、WealthNaviでは自動化されていたリバランスによる利益確定。つまり、利益と税金は自分の意思で売却しない限り、永遠に繰り延べ続けることができるメリットをこの時に認識したのであった。

 ETFでは分配金が出た際に課税されてしまうので、
配当→課税→再投資、の順番になるが、分配金再投資方の投資信託では、
配当→再投資…売却→課税、となるから、いくらETFの手数料が安くても、分配金の課税によってそのメリットが相殺されてしまう可能性があると感じた。

 ETF最大のメリットは透明性であるが、運用手数料の話から随分外れてしまったため、これで終わらせていただく。


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