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カモられないための知識武装。

まともでない人間の相手をまともにすることはない。

 今春、厳密には来年度からの地方移住に際して、いよいよ賃貸物件の契約まで漕ぎ着けた。IT重説対応物件で申し込んだ甲斐もあり、一度も実店舗に来店せず、ビデオ会議システムとメール、郵送のやり取りだけで完結している。

 じきにIT重説と初期費用の支払いを終えて無事契約が締結されるだろうが、契約するその時までは気が抜けないし、いつ破談するかも分からない位の覚悟というか、ぬか喜びとならぬよう、期待していないと表現する方が近いかも知れない。

 送られてきた請求書を見て、さすが地方の物件。初期費用が安い。敷金礼金がゼロとはいえ、今の物件を契約した時の半額にも満たない。でもオプション増し増しになってる。

 私がオプション増し増しを許容するのは家系ラーメンくらいなものだが、そもそも淡白なもやし野郎だと食べる機会もそうそうなく、恐らく標準仕様でも完食するのに手こずるだろう。

 それに比べれば、不動産屋のオプション増し増し請求書を、限りなく標準仕様に近付けることは、メールで複数回やり取りするだけなのだから造作もない。

 転居するたびに、家賃のグレードが落ちていることを差し引いても、初期費用の総額が毎回6桁円単位で減少していることから、それだけ情弱としてカモられない程度の知識と強かさを、18歳で社会に出た時よりも身に付いていると言うことだろう。

 マジョリティは業者にオプション増し増しで請求されて、内心高いなと思いながらも、よく分からないし、気が引けるからと言った理由で、搾取されているが、伊達政宗の名言である「まともでない人間の相手をまともにすることはない」の精神で、最悪、破談となっても構わない面持ちで、クレーマーにならないギリギリのラインを攻めてレスオプションを主張するようにしている。

 ギリギリのラインを攻めるのは、仲介する不動産屋にクレーマー認定されるのは別に構わないものの、これから借りる立場であるのに、大家さん側から契約時点で面倒を起こすようなやつ認定をされると何かと具合が悪いのは、貸し手の立場になって考えてみれば明白だろう。

 とはいえ、極力無駄な出費を免れるために、法令や契約事項に則り、ギリギリセーフとなるよう努めているから、文句も言わずに大人しく増し増しの請求を受け入れる方から見れば過激派に見えるのだろう。

恐ろしく目立たない特約、オレでなきゃ見逃しちゃうね。

 大概、不動産屋は関係法令やガイドラインの原則ではなく、自分たちの都合の良いように拡大解釈した上で、増し増しに請求しているケースが圧倒多数である。そうでもしなければ、人口減少社会の日本で、都市部を除いて空き家が増え続ける以上、利益にならなず、事業が継続できないからだ。

 しかし、そんな不動産屋に対して、自分だけは慈悲深く無駄金を支払う必要はない。仲介手数料は承認が得られない限り、賃貸人と賃借人双方から、それぞれ0.5ヶ月分、合計1ヶ月分までしか収受できないことが、宅建業法46条に定められている。

 承諾しなければ請求できないものの、営業マンの成績に直結する部分であるため、承諾できなければ契約そのものが破談となるリスクが内包されている割に、カットできる金額が0.5ヶ月分+消費税と、比較的少額である。

 そのため、仲介手数料が原則0.5ヶ月分であることを私は知っている。だから、ただでは認めない。1ヶ月分を認めてほしいのであれば、レスオプションの要求をのんでください。と仲介手数料をダシに交渉するのが無難である。

 ここで注意したいのが、契約書や特約に記載されている条件をもとに、増し増しとなっている請求のどれが任意で、どれが強制なのかを、しっかり読み込んで把握しておき、契約条件となっている強制の請求に関しては、一切触れてはいけない点である。

 ここで日本人でありながら、母国語の難しさに苛立ち、概要の把握に手間取るまでがお約束である。法学部出身者であれば、その辺りの関係法令や条文の解釈を心得ていると思われるが、パンピーには揚げ足取りのように思えて仕方がない。

 例えば特約で「火災保険の加入は契約条件〜」となっている場合、加入が契約条件となっているだけで、不動産会社が斡旋したものを必ず契約しなければならない訳ではない。

 しかし、同じ文章の手前に「指定の」と文言が付加されていると、たった3文字しか違わないが、状況は180度変わってくる。この場合、大家さんの意向が含まれている可能性が高く、諦めるか、大家さんと交渉するか、他をあたるしかない。

 私は駅員時代、旅客営業規則や鉄道営業法という、複雑怪奇な条文の言葉じりに弄ばれた経験から、日本語の意味を抑えながら読む癖が付いているため、「恐ろしく目立たない特約、オレでなきゃ見逃しちゃうね」の精神で、解釈の余地を逆手に取り、強かに交渉しているが、相応の知識量が要求されるため、コスパに見合うかは微妙である。

 倫理観が無駄に強いことで、業者に体当たりしているしている感が強いため、捲し立てられない程度に要点を抑えて、さも宅建業法を知っているかのようなハッタリをかけて、明らかに任意なオプションを要領よく外した方が、角が立たずラクだろう。

 どちらを選択するかは読者の自由だが、いずれにせよ、ぼったくられないための最低限の知識武装は必要となるだろう。


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