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2022年の確定申告から配当控除が便利に。

 2/16から令和3年分の確定申告が開始しております。私はサラリーマンですが、毎年寄附金控除(ふるさと納税)と配当控除の還付を受けるために面倒でも申告しております。

ふるさと納税を確定申告する利点。

 なぜ、ふるさと納税ワンストップ特例を利用せずに、確定申告を行なっているかと言うと、控除される税金が若干異なり、還付がはやいからです。因みに控除額は同額になります。

 ワンストップ特例の場合、送付先が地方自治体となりますから、自治体が修正可能な住民税のみが控除される仕組みとなります。

 一方で、確定申告の場合、送付先が国税庁ですから、所得税と住民税の両方が控除される仕組みです。

 例えば、1.4万円分のふるさと納税を行なった場合、自己負担を差し引いた寄付金控除額は1.2万円です。

 これをワンストップ特例で申請した場合、6月の住民税から毎月1,000円の減税が12ヶ月にわたり行われるイメージです。

 確定申告を行なった場合、住民税の枠に留まらず、所得全体から控除されますので、個人の税率に応じた所得税の過払い分が還付されることになります。還付は申告してから最長90日程です。寄附金控除の総額が1.2万円で、1,200円の還付があった場合、残りの10,800円を6月の住民税から毎月900円の減税が12ヶ月にわたり行われるイメージです。

 つまり、確定申告の方が、前年に前払した寄付金が減税されて戻ってくるタイミングがはやいのです。そのため、配当控除と併せて毎年面倒でも確定申告を行なっている訳です。

今年の変更点は、配当控除。

 今年から確定申告だけで、所得税と住民税を異なる課税方式にすることが可能となりました。

 通常、日本株の配当金を源泉徴収ありの特定口座で受け取る場合、所得税15%、住民税5%の20%が差し引かれた状態で入金されます。(本来は復興特別所得税を含めた20.315%ですが、話を単純化するために除外しております。)

 実は、この配当金は二重課税なのです。簿記の知識があると分かり易いのですが、配当金は決算で税引後当期純利益を算出後に繰越利益剰余金を未払配当金の勘定に振り替える仕訳を行なっております。つまり、会社として税金を納めた後のお金で配当を行い、それが個人投資家に分配される際にも課税しているのです。

 このような背景から、日本株の配当金に限り、配当控除が認められている訳です。

 配当控除の内訳として、個人の所得税率から10%、個人の住民税率から2.8%の税金が差し引かれ、過払い分は還付される仕組みです。
 所得税であれば、課税所得195万円以下が5%、195万円を超え330万円以下が10%・・・と言った具合で45%まで上昇していく累進課税の税率から、10%引いた値が配当金にかかる税率になります。
 つまり、課税所得が330万円以下の方であれば、配当金にかかる所得税率が10-10=0%となり、源泉徴収された所得税は全額戻ってくるのです。

配当控除で面倒だった住民税。

 個人の税率は一律で10%ですが、配当控除を適用した税率は7.2%となり、源泉徴収した5%では不足してしまい、2.2%分住民税が増税されてしまいます。

 これを防ぐために、今までは確定申告とは別で、お住まいの区市町村に、特定配当等・特定株式等譲渡所得金額申告書を提出して、所得税は確定申告の税率、住民税は源泉徴収の税率と、異なる課税方式とするために一手間が必要でした。

 それが今年の確定申告から、所得税と住民税を異なる課税方式にすることが可能になり、住民税の入力フォームで「申告不要」の「はい」「いいえ」が選択できるようになりました。

確定申告書作成コーナーの入力フォーム

便利な措置も2年間限定

 令和4年度税制改正大綱によると、2024年度分(令和6年度分)以後の個人住民税は、所得税と課税方式を一致させることになっており、異なる課税方式を選択することはできなくなります。

 そのため、今まで課税所得330万円以下の場合、日本株配当にかかる税金は所得税が、
10%−10%(配当控除)=0%
これに加えて、住民税は異なる課税方式により、源泉徴収された5%据え置きでした。

 しかし、2024年以降は総合課税となり、個人の税率である10%から、配当控除の2.8%を差し引いた7.2%となり、事実上の2.2%増税です。

 岸田政権下において、金融資産課税強化を打ち出しましたが、株価に影響する資産家や機関投資家の税率は20%据え置きのまま、課税所得330万円以下の低所得者の減税措置を廃止する形で、事実上の増税となりました。

金持ち優遇税制に反対した結果、大衆がデメリットを被る税制改正に。

 本質的にはお金持ちを叩いたところで、貧乏人が金持ちになれる訳ではないのが現実ですが、私の考えは大衆とはどうやら異なるようです。影響皆無な高所得者が羨ましい限りです。

#確定申告やってみた


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