控除の活用。
非課税制度に続き、多くの方が知ることで恩恵を受けられる、寄附金控除と配当控除に関して紹介するので、ぜひ活用して頂きたい。
寄附金控除(ふるさと納税)
まずは、ふるさと納税。税制上は寄附金控除と言われているけど同じ意味だ。平たく言えば住民税の前払いに相当する制度で、前払いを役所や税務署に申請することで、翌年の住民税が差し引かれる仕組みだ。
通常の住民税納付と大きく違う点は、
納付先の自治体を選べて、返礼品を受け取れる。
1年の自己負担額である2,000円は住民税の前払いにならないけど、基本的に2,000円相当分以上の返礼品が受け取れるのであれば損はしない。
例えば独身で年収が400万円程度のサラリーマンであれば、ざっくり年間4.2万円がふるさと納税の上限額だ。4.2万円のうち、2,000円は自己負担額だから、住民税の前払いとなるのが4万円。この前払いした4万円を、
ワンストップ特例制度か、確定申告で申請することで、翌年の住民税が差し引かれる仕組み。
年間納付額が4万円差し引かれると、翌年6月から給与天引きされる住民税は通常よりも毎月3,300円程度安くなる計算になる。そして納税額の2割から3割程度の返礼品が送られてくるから、金額に換算するとおよそ1万円相当。つまり、2,000円の自己負担で1万円相当の返礼品を貰えたことになる訳だから、8,000円ほど得をしている訳だ。
勘の良い方はお気付きかも知れないが、このふるさと納税制度、住民税の納付額が多くなるのに比例して寄付金控除の上限額も多くなるから、高収入の人の方がより多くの返礼品を貰える金持ち優遇の制度なんだ。
金持ち優遇制度を助長することになるから、ふるさと納税の制度自体には賛同できないけど、やらないと損だからやっているのが本音である。
あと注意しなければならないのは、確定申告を行うと、無条件でワンストップ特例制度の申請が無効になること。
確定申告は上書き保存のようなもの。
ワンストップ特例制度で申請後に、医療費控除、住宅ローン控除、相続税や贈与税の申請が必要になって確定申告を行なった場合、同時に寄附金控除の申請を再度行わなければ、ワンストップ特例制度の申請がなかったことにされてしまうのだ。
私はワンストップ特例制度にはこのような地雷があるのと、複数の自治体に申請書を記入して送付するのが面倒で、毎年確定申告を行なっている。その方が確実だからだ。
配当控除。
上場株式の配当金のうち、証券会社によって源泉徴収された分は課税所得が1,000万円以下であれば、
確定申告により所得税10%、住民税2.8%が控除される。
課税所得330万円未満までの所得税率が10%の人なら、確定申告で分離課税から総合課税になることにより、配当金の税率を源泉徴収の所得税15%、住民税5%から、個人の所得税10%と住民税10%に変更となる。
総合課税の税率から配当控除を行うにより、
証券会社に源泉徴収された所得税は所得者の場合、全額戻ってくる。
ここで注意したいのが住民税で、総合課税によって10%に変更され、配当控除の2.8%を差し引いても7.2%と税率が増えてしまう。
これを避けるために、確定申告の時期に住民税の納付先である市区町村に住民税申告不要等申出書を提出することで、住民税を5%のまま据え置くことができる。復興特別所得税はどうにもならないけど、配当控除と住民税申告不要等申出書の合わせ技により、上場株式に課せられる配当金の税率を5%弱まで抑えられる。
これに関しては、2022年度の税制改正大綱で改悪され、控除後の実質税率は7.2%となる予定なので、今後の動向に注意して頂きたい。
この配当控除は日本の上場株式の配当金のみ適用される。
つまり、ETFやREITを含む投資信託の分配金であったり、海外の株式には適用されない。
私は2021年時点で配当控除によって日本株の配当金を税率5%弱に出来る程度の所得しかないため、配当控除の存在を知ってから、NISAの非課税枠はS&P500指数に連動する低コストな投資信託の購入に充て、日本株は課税対象の特定口座で運用している。
売却したら復活しない年間120万円の非課税枠や5年という短い非課税期間であったり、損益通算不可と何かと煩わしいNISA口座よりも、毎年配当控除で手取り94%強の配当金を受け取りつつ、いざとなったら損益通算もできる特定口座の方が圧倒的に融通が効くからだ。
配当金が少額な頃は、確定申告や申出書の労力に見合った還付ではないかも知れないけど、年間配当収入が10万円規模になってくると、1万円単位で戻ってくるから侮れない。資産形成の一助となる配当控除を使わない手はない。
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