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お金持ちの実感が得られる高配当株


選定は難しいが、年々インカムが増える

 新NISAでオルカンやS&P 500を中心とした、インデックスファンドが持て囃される一方で、日経平均は上値が重い展開となっており、NISA損切りなるワードが浮上する昨今だが、6月は3月決算の企業が、続々と配当する時期でもある。

 個別株投資は銘柄選定が難しいものの、打ち出の小槌の如く配当や優待が到着し、しかもポートフォリオ全体で見れば、投資家は何もせずとも自然に会社の事業が成長しては、いくつかの保有銘柄が増配となり、時間経過とともに受け取る配当の総額が増加する度に、生活が豊かになっている実感が得られる。

 流行りのインデックスファンドの場合、分配金もファンド内で再投資されて、課税も繰り延べされるため、最高効率で資産形成できるメリットはあるものの、インカムがないため、資産により実生活が豊かになった実感は得にくい。

 一応、分配金が出る投資信託やETFもあるが、毎月分配型の投資信託は、タコ足配当で元本を払い戻しているだけの地雷商品が多いのと、ETFは性質上、ドルコスト平均法で積み立てる、NISAのつみたて投資枠と相性が悪く、取扱銘柄が極端に少ないどころか、ネット証券に関しては取り扱いが皆無だったりする。

 ETFは金融商品として画期的な発明にも関わらず、投資信託が幅を利かせているのが現状で、真っ当な高配当ETFが、つみたて投資枠で買える日が来るのか、個人的には気になる部分である。

 そんな現状となっているため、出来るだけ少ない元本で、できる限り多くのインカムを得たいとなると、日本の高配当銘柄を個別でピックアップするのが最善と考えられ、選定難易度の高い個別株に、安易に手を出した投資初心者が、NISAで損切りするに至ったのだろう。ネタであることを祈る。

基本的に、割安株には相応のワケがある

 そもそも、高配当株の定義が曖昧だが、一般的には配当利回りが4%以上の銘柄を表すことが多い。「配当利回り=1株あたり配当/株価」で算出される構造上、高配当銘柄は、配当が多いか、株価が安いか、いずれかのグラデーションで構成されているとも捉えられる。

 配当の多さに関しても、今期だけ特別に多い場合と、配当に重きを置いていて、恒常的に配当水準が高い場合とに分けられる。

 前者は2年前の海運銘柄が典型例で、軍事衝突によりサプライチェーンが崩壊し、空輸が難しくなったことで、海運の需要が急増。海上運賃の引き上げと相まって好業績を叩き出し、一気に増配した格好となった。

 しかし、これは一時的な要因であり、恒常的に同じ配当水準を維持し続けることが現実的ではないことから、減配リスクを織り込んだ水準でしか株価は上昇せず、結果として一時配当利回りが10%みたいな、配当水準だけを見れば割安のまま放置される結果となった。

 後者は成熟企業にありがちなパターンで、例えば銀行業みたいに、事業そのものの収益は安定していて、かつ世間に浸透しすぎて、新規顧客を獲得するために、新規で大規模な事業投資をする必要もない場合、事業で得た収益を内部留保として積み上げるよりは、株主に配当で還元した方が市場へのウケが良いため、恒常的に配当が高水準な傾向にある。

 しかし、このパターンは成長性が期待できないため、独占でもしない限り、市場の変化と共に置いていかれて、過去の利益を食い潰すだけの、ゾンビ企業化するリスクがあるため、安定した収益の殆どを配当で吐き出すような銘柄は、持続可能性の観点で疑問が残る。

 最後に、株価が安いパターンは、先述の海運で例えたように、業績悪化や減配を見越して割安なまま放置されているパターンと、会社や事業自体の潜在能力は高いものの、一般に広く認知されておらず、割安なまま放置されているパターンに大別されるが、基本的には前者で、後者のパターンは極めて稀である。

 少なくとも、証券アナリストが格付けするような大型株であれば、機関投資家を始めとする金融のプロや、個人のトレーダーが、隈なく監視している筈であり、多くの人間の目に触れる以上、材料が出れば、瞬く間に妥当な額まで織り込まれるのが世の常で、割安なまま放置されることはまずない。

 古今東西、安いものには訳があることは変わらない。

増やしたお金の使い方も重要

 そんな銘柄選定が面倒臭い個別株投資だが、ものぐさな私が財務諸表や決算短信、有価証券報告書を読んでまで、個別銘柄を選ぶのは、最初の目利きさえ失敗せずに、大人しく保有してさえいれば、淡々と配当が得られ、例え全額使い切っても、保有する株式には何ら影響せず、半年〜1年後に同額以上が得られる見込みが高いからだ。

 昨今もてはやされている、インデックスファンドの4%ルールは、あくまでも資産を取り崩すため、理論上は問題ないと理解していても、精神衛生上、少しでも資産を長持ちさせるために、取り崩しは必要最小限に留めたいインセンティブが働く。

 両方やっているからこそ、この感覚の差は大きい。今よりも未来が良くなることに賭けて投資をしている筈なのに、その未来に、到来するかも定かでない未来のことを考えて、お金を使い渋ったら、恐らく死ぬ間際が一番お金持ちとなり、何のためにお金を増やしたのは分からなくなる。

 その点、配当の時期こそ偏るものの、サラリーマン同様、定期的にインカムが得られて、有り金は全部使える高配当銘柄を集めた方が、リタイアなどで蓄財から使うフェーズに移行した時の抵抗感が少ない気がする。

 貯蓄から投資へが謳われる昨今、お金を増やすことに焦点が当たりがちだが、増やしたお金をどう使い、人生をより良いものにしていくかを考えることも、蓄財や運用と同じくらい重要だと思う今日この頃である。


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