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低所得者×資産持ちが最強な理由。

得する高齢者。損する若者。

 日本は2010年〜2040年の30年で、現役世代は3割減少するのに対し、高齢者は3割上昇するとの予測が出ており、その頃は1人の高齢者を1.5人の現役世代で支える構図になると予想されている。

 だから、サラリーマンで居続けるのは税金や年金、社会保険料が給与天引きシステムによってノーガードで搾取されて分が悪い。実際に今の20代は世代会計で5,000万円以上損すると試算されているし、人口分布上、日本人の半数が50歳以上であるから、若者が束になって選挙に参加したところで、シルバー民主主義を覆すのは、ひとり一票の多数決である限り不可能である。

 そこで、労働者であり続ける限り、国に搾取され放題な人生が目に見えている健気な20代の私が考えているのは、LeanFIREと言われる引き締まった家計による月数万円の低支出ライフと、アッパーマス層前後の金融資産の組み合わせで、経済的な独立を目指し、副産物的ではあるが、合法的に国や行政機関に財源を供給しないスタイルである。

低所得者レベルの金融資産所得。

 仮に3,000万円を配当利回り4%で運用した場合、税引き後の配当所得は95.6万円だが、日本株であれば配当控除を利用できる所得330万円未満の人であれば、実質税率が7.2%(2022年時点)となるため、111.3万円まで手残りを増やすことができる。

 これで月当たり9.28万円のインカムを得ながら生活できる。3,000万円の金融資産を有していても、生活保護以下のインカムと思う方もいるかも知れないが、ポートフォリオを適切にメンテナンスさえしていれば、元本の3,000万円には手を付けずに、半永久的に得られるのである。

 しかも連続増配株であれば、時間経過とともにインカムが増えていくし、株主優待も受け取れる。何より生活保護と違い何にも縛られない、自分の人生を自由に選べる開放感は想像するだけでワクワクする。

 それでも、生活保護以下の所得しかないのは事実である。それに、取り崩せる金融資産を有していれば、それを取り崩すのが先であり、生活保護で差額を受給することもできない。

合法的に税金や年金、社会保険料から逃れる。

 しかし、税制上の低所得者を装うことにより、行政が課税も社会保険料の徴収も免除や減額する情けという名の合法的な逃税が可能となるのである。

 実際に所得税が発生する103万円の壁は専業主婦世帯で意識されているが、年間給与収入が93〜100万円(自治体による)を下回れば一律10%の住民税も免除される。

 年間の所得(収入−控除)が67万円以下であれば国民年金も全額免除となるし、札幌市であれば、令和2年度の所得が43万円(年収98万円)以下であれば、健康保険料も7割減額となり、年間19,320円で済む。

 日本は低所得者に優しい国で、所得が低空飛行なら健康保険以外で虐げられるものはない。これ以上の重税となれば、生活保護受給世帯が増加して、かえって歳出が増大してしまうためである。その反動が源泉徴収によってノーガードで徴収可能なサラリーマンに直撃しているのだから、これぞまさに働いたら罰金。働かなければ賞金の理不尽な世界である。

 では、高所得者は相当な重税かと言われれば、そうでもない。1億円の壁とも言われるように、金融資産の税率は高年収サラリーマンや法人のそれよりも低い。民意で課税強化の声が上がったところで、政府は資産家が海外移住されるのを恐れているから、大したことができない。つまり、資産家も国に守られており、その歪みがほんの一握りしか居ない高年収エリートに直撃しているのである。

 結局、令和4年度の税制改正大綱も金融課税強化と謳い、あたかも金持ち優遇税制を是正しました感を出しておきながら、結果として低所得者に優しい配当控除と分離課税の合わせ技を塞いで控除分を2.2%増税しただけである。金持ち優遇税制をやめろと主張したであろう低所得者層が真っ先に増税の被害を被る税制改正となったのは皮肉が効いている。

 税制上有利な資本家と言う立場でありながら、低所得者並みの生活水準を容認することで、年間1万円ちょっとの健康保険料さえ支払えば、住民税も、所得税も年金も合法的に支払わず日本に居住することができる、なんとも畜生な自由人の出来上がりである。

畜生な自由人を懲らしめるには代償が伴う。

 金融所得課税を強化しようにも、老後2,000万円不足問題でiDeCoやNISAを活用した資産運用で老後に備えろと国民に示した手前、運用に水を差す金融課税強化は気が引けることだろう。何より課税強化で市場が暴落すれば、GPIFの運用にも影響が出るから、大々的な課税強化は構造上、かなりの痛みを伴うため、次の世代に先送りして結局いつまでもやらない。

 出来たとしても、金融資産の税率を現在の20.315%から個人の税率(〜55%)と合わせる位で、その場合、低所得者層であれば影響を受けないと言うのが私の読みである。

 合法的に逃税している畜生を対策しようとしたら、資産家と低所得者を犠牲にしなければならない。裏を返せば、資産家と低所得者の壁によって守られた立場なのである。どこまで行っても畜生である。

若者の密かな反骨精神。

 現代の若者は生まれた時から日本経済は停滞していて、年代別では少数派で選挙で勝つこともない。自分達の意志で日本を変えられる仕組みがそもそも存在していないため、将来に対して希望を持っていない。

 貴重な労働力として社会に出れば、椅子取りゲームの椅子にしがみ付いているような、常に人口ピラミッドのマジョリティで、がむしゃらに働いてさえいれば相応に報われた、現代人の苦労を理解できない老害たちが安全圏から、今の若者は苦労が足りないと揶揄される始末。そんな世代を、自分の生活を犠牲にしてまで支えようとは思わないし、敬うどころか心の底から軽蔑している。

 構造上、日本社会になんら影響を与えられない若者が、主体的にシルバー民主主義社会に反骨する現実的かつ、唯一の手段が今日のFIREムーブメントに繋がっている側面もあるのではないかと考える今日この頃である。


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