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投資でメンタル病む人がまぁ多いこと


下落の重圧に耐えられない人は、リスク許容度を見誤っている

 先日行われた為替介入による円高と、アメリカ様の株安が重なったことで、SNS界隈では「おはぎゃあ」、「辛い」、「苦しい」、「退場」、「さようならが美しいさ●み典礼」と言った書き込みが散見された。

 インプレッションを稼ぎたいだけのネタである可能性も踏まえると、やはりこの手のツールは便所の落書きの域を出ないが、それによって振り回されて相場の養分となるのは、決まって投資初心者(非プロ)であることは、個人投資家である以上、肝に銘じておくべきだろう。

 個人的には、昨年からの上昇相場が、ここ半年間で更に加速したように感じたため、この地合いの良さが、いつまでも続くわけがないことを察していた。

 そのため、久々の前日比マイナス2〜3%みたいな状況に、あっ小林製薬下落相場って確かにこんな感じだったよなぁ〜と、どこか懐かしさにも似た感覚すらあった。無論、薄給激務がウリの社畜時代のボーナスよりも、多額の含み益が1日で削られていた。

 今年の新NISAから、順張りのオルカン、積立投資民からすれば、初めて体験する逆風となっただろう。このような下落局面で、ソワソワして損失のこと以外、何も考えられない状態が続き、己の機嫌が日経平均やS&P500、ACWIと連動するような状態なら、リスク許容度を明確に見誤っている。

 投資はあくまで余剰資金でやるもので、リーマンショックおじさんではないが、最悪半値になった状態が何年も続いても、自身のメンタルが耐えられる規模の資金しか投じてはならない。

 これまでの半年間がビギナーズラックみたいなもので、通常は半年で+20〜30%みたいな上がり方はしないのは、投資の神様と言われるバフェット氏の生涯リターンが、年率20%程度であることからも窺えるだろう。

負け込んでいる時に、一発逆転を狙わない

 私はチャイナショックやコロナショック、2022年の戦争やインフレに伴う地合いの悪さを乗り越えた経験値があるため、油断や慢心は禁物ではあるものの、おそらくは日本円にして8桁まで膨らんでいる膨大な含み益が、全て消し飛ぶ位の下落で済む程度に、過去の蓄積と、これまでの経験がある。

 おそらく私がポートフォリオ全体で含み損を抱えるような状況となった時は、多くの人がギブアップしかねない、リーマンショック級の暴落なのは間違いなく、そういった有事こそ、冷静沈着にバリケード作ると豪語しては、フニャフニャのスポンジを立てかけたいものである。シカでした。

 それはさておき、投資歴が浅い時の暴落は、含み益の累積が十分ではないことから、大きな含み損を抱えて、負け込んでいる状況になりかねない。私の場合、チャイナショックがそうだった。

 しかし、そんな時に欲を掻いて一発逆転を狙い、持っているポジションを全部損切りして、信用取引やレバレッジ型投資信託、FXとか暗号資産に全ツッパするみたいな真似をすると、一発退場になりかねない。

 人は欠乏状態に陥ると、どうやら非合理的な判断をするらしいことが、行動経済学によって明らかにされている。つまり、日頃からお金、時間、労力と言ったリソースを、枯渇させないような構造にしておくことが重要なのだ。

 下落相場で焦らないためにも、最低でも半年〜2年分の生活費を防衛資金としてリザーブして、それでも残った分を、余剰資金として運用に回すのが理想的だろう。

 最近であればクレカ積立を活用して、先取り貯蓄の要領で、毎月一定額を積み立て続けるスタンスを、どんな相場でも崩さず、極力裁量を排除するのが賢しい選択となるだろう。

鵜呑み厳禁、プレッシャー耐性は人による

 手前味噌だが、私は資産の9割前後を、株式で運用し続けており、老後資金不足問題が解決する規模の資産を築いた辺りからは、お賃金だけでは補填できないレベルで、総資産が日々変動するようになったが、そのプレッシャーに屈したことは、これまで一度もない。故に狼狽売りもしたことがない。

 無論、これまでは狼狽売りしなかっただけで、これからも狼狽売りしないとは限らないが、大金を運用する重圧に耐えられるのは、鉄道員という出自が影響しているものと思われる。

 電車を運転していた頃は、自身のヒューマンエラーによって、最悪の場合、百人単位で死者が出るプレッシャーがあった。その重圧に耐えきれなかった側面もあって、20代半ばで内臓を摘出しなければならないレベルで悪くして死にかけた。

 しかし、株取引はミスをしても自分ひとりが経済的に死ぬだけで、生物的に死ぬわけでもなければ、ましてや意図せず他人を殺めてしまうこともない。

 起こりもしないヒューマンエラーで、乗客の命を奪うかも知れないと気を病んだ小心者である一方で、株取引は自分ひとりが経済的に死ねばいいだけだからと、気楽に売買している。

 ぽっぽ屋として背負わされていた十字架が重すぎたことで、副産物的に株屋として背負う十字架が軽く感じて、余裕を持って売買できているのは、何とも皮肉なものである。

 私は投資助言業の資格を持っているわけでもない以上、このnote然り、投資アカウントとして運用するのはリスキーだと判断しているため、無資格の状態で個別具体的な投資銘柄を推奨することは未来永劫ないとは思う。

 ただ、ぽっぽ屋→株屋という同じ経歴の持ち主でもない限り、プレッシャーへの耐性が他人とは異なる前提のものと、私の記す持論を鵜呑みにすることなく、話半分で読んで頂ければ、著述者冥利に尽きる。


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