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メンテナンスのお話

■ はじめに

ついつい
性能向上リフォームのお話をするとき
耐震や断熱、省エネ、バリアフリーについて話してしまいます。

しかし、実は最も重要で根本的なお話が抜けてしまっているので、
今回は、それについて。

メンテナンスのお話です。

メンテナンスと言っても、さまざまな部位があります。
たくさんありすぎて、なにから話せばいいのか悩みますが、
やはり、まずは外部のお話。

■ 外壁のメンテナンス

皆さんの意識にも
「外壁の塗り直しはしないといけないんだろうな…。」
というのは、なんとなくあるのではないでしょうか?

でも最近の住宅の場合は、
「ウチはサイディング貼りだから、メンテナンスしなくていいのでは?」
と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

メンテナンス必要ですよ~。

もともとモルタルに塗装しているお家は、
イメージしている通り塗り替えが必要です。

じゃあ、サイディングの場合は?

一番重要なのは、コーキングの打ち替えです。
特にサイディング貼りの仕様が多くなりだした
今から20年くらい前(西暦2000年頃築)より以前のお家は
あまり良いコーキングは使用されていませんでしたので、
(今のモノからすると性能の低い、という意味です。
悪いものを使用しているって意味ではありませんので。)
施工から10年を過ぎると劣化により硬化して
すき間が空いたり、欠落したりしていませんか?

もちろん、コーキングが取れたから(すき間が空いたから)
すぐに雨漏りするわけではありません。
サイディングのジョイント部分には水切りが入っていますし、
そもそも防水紙が全面に貼られていますので、
そういった部材で止水するように作ってはいるはずです。

しかし、過去の雨漏り事例として
コーキングの劣化から壁内に雨水が侵入し、

1. 窓廻りの防水紙とサッシのすき間から屋内に雨水が侵入
2. 下地木材(胴縁)を固定する釘の穴から屋内に雨水が侵入
 などの事例があります。

これは、決して特別な事例ではなく、ちょくちょく見受けられるものです。

そういったことから、できればコーキングにすき間ができていたり、
劣化して欠落している場合は、できるだけ早めにメンテナンスをおすすめします。

メンテナンスとは何をするのか?
基本的には、コーキングの打ち替えとなります。
既存のコーキングを撤去して再度コーキングを打設するというものです。

ここで、注意点があります。

■ 打ち替えと増し打ち

コーキング打ち替えの見積りを取った時に、
「他の業者に比べて、いやにm単価が安いな~。」
と思うことがあるかもしれません。

まぁ、そうでない時も確認はして頂きたいのですが、
コーキングは打ち替えるのか?増し打ちするのか?ということです。

どういうこと?

先にもお話したように、
コーキングは既存のコーキングを撤去して再度コーキングを打設するのですが、
稀に、既存のコーキングを撤去せずに上から増し打ちする仕様があります。

これ、結構クセもんで、まぁまぁ、あるんですよ。
と言っても、これが悪いってわけではないんですよね。
悪いってわけではないってのがクセもんってことなんですが…。

場所により増し打ちする箇所もあるって事なんです。

一般的によく言われているのが、

〇 入隅部分(壁と壁、軒天と壁 など)

そして、

〇 サッシ廻り … これがポイント。

最初に書いた入隅部分は、まぁ増し打ちかな…って感じです。
場合によれば、Vカットするってのはありだと思います。
また、入隅のすき間のあき具合にもよります。
特に軒天と壁の取り合いは大きめのすき間が取っている場合もありますので、
その場合は撤去やVカットも可能かもしれません。
ただし、これは状況によりますので、
実際私自身は、とりあえず、軒天との取り合いは増し打ちで考えます。

図で説明しておきますので、以下参考にしてみて下さい。


( 打ち替え・増し打ち・Vカットの違い )


で、意見が分かれるのが、サッシ廻りのコーキングです。
ネットで見ると基本的にはサッシ廻りは増し打ち派が多いのかな~と思います。

私は、サッシ廻りこそ打ち替え派です。

サッシ廻り増し打ち派の言い分はこれです。

1. 撤去時に防水紙を誤って切ってしまう可能性がある
2. サッシを傷つけてしまう
3. バックアップ材で元々数ミリしか打てていないので三角シールの方がいい
などでしょうか。

1. が最も多い意見です。
2. は、わからなくもないが…増し打ちの理由にはちょっと弱いな…って感じですし、
3. は、正直ちょっとビックリしました。じゃあ、バックアップやり替えたらいいのでは?
  コーキング撤去の手間をはぶきたい理由を言ってるようにしか聞こえないよ…。

って事で、一番の理由は1.の防水紙を誤って切ってしまう可能性がある。です。

では、私がなぜサッシ廻りは打ち替えすべきと考えるかのお話をしていきます。

■ サイディングと外付けサッシ

サイディング貼りと一緒に通気工法が導入されるようになりました。
通気胴縁を設置し通気層を確保して、その胴縁にサイディングを貼る。
従来は、サッシを柱やまぐさに取り付けてから、バラ板や構造用合板を貼っていましたが、
胴縁とサイディングで30㎜程度以上 下地面から出っ張る為、
構造用合板を貼ってからサッシを取り付ける方法に変わってきました。
その際にサッシも半外付けが主流でしたが外付けへ移行するようになりました。
その為、防水紙はサッシのツバと構造用合板がほぼ同面で貼り付ける形となります。
以下の図を参照ください。

 ( サッシ廻りの構造 )

サッシの取付部分であるツバ部分は15㎜~25㎜程度はあります。
サイディングとサッシとのすき間は10㎜程度です。
要は、サッシ廻りの防水紙を切ってしまっても
アルミサッシのツバの上なので、防水上は問題ないと考えます。

防水紙を切ってしまう可能性が低いのであれば、
最も雨水侵入の原因になる箇所であるサッシ廻りこそ
コーキングは、増し打ちではなく打ち替えすべきであると考えます。

■ まとめ

この話は、私も今までいろいろ考えましたし、
最初のころは、職人さんにサッシ廻りは撤去しません。って言われて
はい。そうですか。って
そう施工していた時期もあります。
しかし、今ではお話したように、基本的は打ち替えでお話しています。

私が昔、増し打ちしたお家を拝見した時、
表面がバリバリに割れてきていました。
10年経ってない位です。
やっぱり、増し打ちはできるだけ避けるべきだなって改めて感じました。

なんか、メンテナンスの話のつもりが、
サイディングのコーキングの増し打ちと打ち替えの話がメインになっちゃいましたね。

ただ、間違いなく言えるのは、
メンテナンスは絶対に必要です。
他にも、屋根や床下などいろいろお話すべきことはありますので、
それはまた、おいおいと書いていこうと思います。


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