母になって思うこと、孫ができて思うこと。

「ふたりともまとめて遊びに来ればいいのに！」

子どもを二人連れて、実家に帰った時に、母から言われた言葉だ。
私は二人姉妹の長女で、妹にも1歳の子供がいる。
１～2か月に1度、私は子供と一緒に実家に遊びに行く。
少し子供を見てもらって自分もリフレッシュしたいのと、単純に両親とコミュニケーションをとりたいのが理由だ。
幸い両親も孫をとても可愛がってくれて、わが子が私たち夫婦以外の人に心から受け入れられている様子を見ていると、とても救われた気持ちになる。

妹のほうも、同じようなペースで実家を訪れているようだ。
ただ、わたしとは日にちがほとんどかぶらない。

それに対して、上記の言葉を、母が言ったのだった。

孫はまとめていらっしゃいませ！母の気持ち。

母の言い分としては、例えば時期が重なって毎週末かわるがわる私と妹が子供を連れてやってくると、その分準備やらが面倒なので、一緒に来てくれたら1回で済むんじゃない？さらに、皆そろって楽しいんじゃない？とのことだった。
確かに、子供を孫を迎える準備は手はかかるだろう。（いつもより入念に掃除をしたり、布団を用意したり）孫に会いたい、という気持ちとは別で、そこに負担がかかってしまう。それが一度に済むなら助かるだろう。
孫が複数人いても、その分大人の手（私や妹）は増えるわけで、そこまでの負担増には感じないのだという。

できれば、時期を重ねたくない。私の気持ち。

対して、私はあまり妹親子と来訪の時期を重ねたくなかった。
もちろん、妹が嫌いとかそういう話では全くない。

私が実家に遊びに行く理由は、上記の通り自分の気分転換のため、というものがある。
（次点で、母と子供たちのふれあいの場を作ること、子供に普段と違う体験をさせてあげること等…）

そして、妹親子がやってくる理由も、私とそう大差ないと想像できる。

すると、同じ立場でお互いの気持ちがわかってしまう故に、母や妹に対して遠慮してしまうのだ。

普段自宅で次男がぐずっている、すぐに抱っこしに行かなければならない…実家であれば、母が抱っこしてくれる時がある。
長男がこれ見て！教えて！と周りの大人に話しかける、すぐに駆け付けて真剣に向き合うべきだ…
実家であれば、父が話し相手をしてくれる時がある。

この、「絶対に自分がやらないといけない」シチュエーションが、相当自分自身に精神的負担を与えてくるのだ。

故に、実家にいるとその普段の「やらなければならない」責任が私１００％だったとすると、

私　５０%、母　３５％、父　１５％

くらいに振り分けられる。
１００が半分になるのはかなり気が楽になる。
その分心穏やかに過ごせるし、子どもに対しても優しくなれるのだ。

しかし、妹親子と日にちがかぶると、私の「やらなければならない」割合が８０％くらいに跳ね上がる。
さらに、妹の子に危害を加えないか等、別のことに気を使うことになり、まったく気が休まらないのだ。

たまにみんなで集まってイベントを過ごすのが目的なら同時に集まるのは大賛成だが、リフレッシュ目的が少しでもあると、気分的に本末転倒になってしまう。

打算的だと思われるかもしれないが、それくらい子育ての日々はハードだ。
月に一度の息抜きは、自分の生活の中で非常に大切なルーチンになっているのかもしれない。

今だから振りかえってみると。

そんなことをもう少しマイルドに母に伝えると、

「ああ、そうなんやね。そういうことかぁ」

と、母は神妙な顔をして少し考えこみ、ぽつりとこうつぶやいた。

「そういえば、あんたたちが小さいとき、おばあちゃんの家にいったやろ？
おばあちゃんも「みんないっぺんに来たらいい」って言っていて、いつもいとこたち（母の妹と弟のこどもたち）も集まってきたやんか。

そのとき、「なんでみんなも来るんだろう」って思ったことがあるかもしれない。（妹たちは祖母の家の近所に住んでいるが、母は飛行機の距離）

私も甘えたかった、でもそうなるとなかなか甘えられなかった」

そうだったのか、と私は驚いた。
小さいころ、なんでもできるスーパーマンのように思っていた母が、そんなことを考えていたのだと。

「あの時はそう思っていたのに、子育てが終わって孫ができたら、
おばあちゃんとおんなじこと言ってるね、不思議だわぁ」

そう言って母は笑った。

親の愛を受けて大人となり、そして女性となり、母となり、孫のいるおばあちゃんになったりする。

その時々でたくさんのことを思い、価値観を変え、その思考もどんどんと姿を変えていく。

私もいつか、母と同じ立場となった時、「めんどくさいから一度に来てよ！」等と言って笑うのだろうか。
そして、母とこんな会話をしたことを思い出すのだろうか。

そんなことを考えて、私もわが子を見つめて、少し笑ってしまった。