Column Vol.8 〜DXとGX デジタル化と脱炭素化社会に向けて DXについて・後編〜
こんにちは、レラテック株式会社の中里です。レラテックでは、風況調査に係る観測や解析、シミュレーションを広く担当しています。
前回は、トピックである「DXとGX デジタル化と脱炭素化社会に向けて」の前編「DXについて」お話ししました。今回はその後編となる「DXの実例について」です。
このコラムを書くにあたり、個人的に非常に参考になったDXの事例がいくつかありましたので紹介いたします。
DX実例①:タクシー業界
国内で100年近くの長い歴史を持つタクシー業界ですが、最近では電子決済が幅広く普及したり、配車手配をスマホアプリで完結できるようになったりと、利便性が大きく向上しています。
その中でも、日本を代表するタクシー会社の一つである日本交通株式会社は、タクシー業界のDX実現に大きく貢献しています。
これまで、タクシー会社では以下のような課題を抱えていました。
時期や地域ごとに異なる、タクシーの需要を把握することができない
適切な場所にタクシーを配車することができず、稼働率を上げにくい
特にタクシー需要の把握や、適切な場所への配車はドライバーの経験や勘に頼る部分が多く、またコロナ禍におけるタクシー需要そのものの低下に伴い、効率化な配車はタクシー業界全体において重要な課題とされていました。
そこで、AIがタクシーの運行実績、人口動態やイベント開催時の気象といった情報などを分析して、乗車需要が高い場所を予測するという、運用者向けの配車支援システムを導入しました。
また、ユーザー向けには乗車位置を指定するだけでタクシーを配車できる、スマホアプリを開発。これにより、タクシーを簡単に手配することができるようになりました。
この時に開発されたユーザー向けのスマホアプリは、現在の配車アプリ「Go」に引き継がれ、さらなる利便性の向上に寄与しています。
そしてもう一つ、タクシーの後部座席にタブレット端末を設置し、モバイル回線を使用することで、動画による広告配信を可能にしました。
電車やバスで一般的とされてきた車載広告を、タクシーでも導入することに成功しました。
DX実例②:林業
岡山県西粟倉村という村で、森林の管理を行っている「株式会社 百森」は間伐作業を行う際に下記のような課題を抱えていました。
工程の全容が不明瞭
暗黙知化する業務手順によって、個人間に情報格差が生じている
個人間のタスクのバランスに偏りが発生する
業務の引継ぎや作業が不透明
そこで、トップダウンで既存の業務フローの見える化を実施し、手順の形式知化や個人のタスク管理に取り組みました。
初めに作業手順の記録や業務の形式知化を目的とした社内Wikiを導入し、次に作業の可視化に着手。作業状況をチケット化することでタスクの可視化を行い、個々の繁忙状況や残タスクをすぐに確認できるような環境を整備しました。
DXを進める際に
事例の調査を通して、「業務の見える化」と「適切なツール選定の重要性」を実感しました。通常の業務を進めながら業務の見える化を進めるには、どうしても既存作業の負荷が高くなり、当事者も大変です。
そのような状況下で見える化を確実に進めるには、他のメンバーの協力や、全員の改革意識が重要になると考えました。
またツール選定については、必ずしも最先端のIT技術にこだわるのではなく、業務に精通した上で、導入するツールが本当に必要な機能を満たしているのか、そして導入した後に、適切に運用していけるか等を正しく見極める必要があると思いました。
次回の中里担当のコラムでは、レラテックが取り組む再生可能エネルギーとも関連性が高い「GX」についてご紹介できればと思っています。
レラテックでは風況コンサルタントとして、風力発電のための「観測」と「推定」を複合的に用いた、最適な風況調査を実施いたします。