生殖心理カウンセラー 平山史朗

臨床心理士・公認心理師による不妊カウンセリング「生殖心理カウンセリング」を20年以上実…

生殖心理カウンセラー 平山史朗

臨床心理士・公認心理師による不妊カウンセリング「生殖心理カウンセリング」を20年以上実践しています。このたび妊活・不妊・生殖の困りごと、夫婦関係、性の問題などのご相談に応じるカウンセリングセンターを設立しました。不妊や生殖の心理について情報発信していきます。

最近の記事

光文社 kokode Beauty 記事にコメント寄稿しました

光文社のウェブサービスである「kokode Beauty(https://beauty.kokode.jp/shop/)」さんから取材を受け、男性妊活に関するコメントを掲載していただきました。 TENGAヘルスケアが頼りになる!「男性妊活」はじめに、おうちでできる上手なアプローチ知ってる? という記事で、TENGAヘルスケアさんが販売している男性向け妊活グッズの上手な取り入れ方についてお話しました。 男性の妊活意識も高まってきたとはいえ、まだまだ他人事感が強くて苦労され

    • つぶやき

      夫婦に子どもがいないと、どうして?と理由を問われるが、夫婦が子どもを持つことについて理由を問われることはない。それほど夫婦が子どもを持つことは当然で理由が必要ないほど自明のこととされているのである。

      • 不妊治療をやめるとき (3)

        ((2)からの続きです)  もちろん、この作業を通して子どもがいない人生を受け入れていても、この先「もし子どもがいたら」とか、子どもがいないことをさびしいと思うことはきっとあるでしょう。特に、周囲が孫をもつ時期になるとそうです。ですが、その悲しみに、治療を終えた直後のような激しさはなく、あなたの人生や心を破壊する力もなくなっていることでしょう。  悲しみを抱えて生きていくということは、口で言うほど簡単ではありませんから、今このようにいわれても、そんなきれいごとを、と思われ

        • 不妊治療をやめるとき (2)

          ((1)からの続き)  これまで、子どもが得られずに治療をやめていく不妊患者さんたちのお話を伺ってきた私の感覚から言わせていただくと、治療をやめる時点で気持ちがすっきりしていて、「子どもができなかったことなんて悲しくもないわ」という状態になることは、まず不可能ではないかと思っています。つまり、そういう気持ちにならないと治療をやめてはいけないのだとしたら、納得して治療をやめることができる人なんて、ほとんどいなくなってしまう、ということです。  誤解されがちなのですが、治療を

        光文社 kokode Beauty 記事にコメント寄稿しました

          不妊治療をやめるとき(1)

           「不妊治療をやめるとき」と聞いただけで、「そんなことは考えたくない!」と思われるかもしれません。あなたは妊娠するために通院してこられたのでしょうし、妊娠できないことなんて考えてはいけないように感じられるでしょうから。 でも実際は、「このままうまくいかなかったらどうしよう」とか、「治療をがんばってきたのに見通しが立たなくて…いったいいつまで続ければいいんだろう」といった思いも、頭をよぎることがあるのではないでしょうか。  治療を頑張っているときであっても、“治療の終わり”に

          不妊治療をやめるとき(1)

          不妊による夫婦の温度差を乗り越えよう (12) 「子どもができなかったら離婚すると言われてしまい…」

          女性の不満④ 「夫に〈子どもは難しいかも〉と話をしたら、〈もし生まれなかったら離婚する〉と言われてしまい、何も言えずに泣いてしまいました」 大抵のカップルは、結婚する前には子どもについて意外ときちんと話し合っていないものです。「子どもがほしくない」と積極的にどちらかが言わない限り、”二人には子どもができるはずだから子育てをいずれするはずだ”という暗黙の同意ができていることになり、特に問題になりません。それは、結婚すれば子どもができることが自然で当たり前のことと思っているからで

          不妊による夫婦の温度差を乗り越えよう (12) 「子どもができなかったら離婚すると言われてしまい…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (11)「わかっていないって言われても、俺にどうしろっていうんだ!」

          男の不満⑦ 「〈わかってない!〉って言われても、俺にどうしろっていうんだ!」 多くの男性は女性に相談されると、「何とか解決してあげよう」と考えて、いろいろアドバイスや理論的に“正しいこと”を伝えて安心させようとします。でもそれがうまくいかず、「あなたは私のことをわかってない!」と怒られてしまうと、もうどうしたらいいのか、わからなくなってしまいますよね。  多くの場合、女性は話をそのまま聴いてもらい、「君は~だから、とてもつらい(悲しい、残念など)と感じているんだね」と共感し

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (11)「わかっていないって言われても、俺にどうしろっていうんだ!」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (10)「彼女はどうしていつまでも泣いているんだろう」

          男性の不満⑥ 「彼女はどうしていつまでも泣いているんだろう…また来月がんばるしかないじゃん。落ち込んでる彼女は見たくない…」 不妊治療の負担そのものは女性の方が重いことがほとんどですから、うまくいかないときのつらさも女性が重く感じるのはある意味当然のことかもしれません。でも自分のつらさを男性に理解してもらえていないと感じて悲しくなる女性がとても多いことはとても残念です。お二人に知っておいてほしいのは、二人にとって、生理が来る、妊娠判定が陰性などで妊娠しなかったということは、「

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (10)「彼女はどうしていつまでも泣いているんだろう」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (9)「食事制限がキツイ…」

          男性の不満⑥ 「不妊治療を始めてから、やたら鶏肉と豆腐を食わされる。俺は豚肉が好きなんだ!!って怒ったら、泣かれた。炭酸ジュースは不妊治療に悪いから飲むな、とまで言われる。でも会社の同僚は炭酸ジュースばかり飲んでてもスナック菓子ばかり食べてても3人の子持ち。ストレスの方がヤバいだろ?!」 ここで妻が問題としているのは「不公平感」なのではないでしょうか。「自分は病院に通い、食べ物にも気を使い、妊娠するために努力している。それなのに夫は何もしていない。二人の子どもなのに…」このよ

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (9)「食事制限がキツイ…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (8)「毎回病院に付き合えって言われても…」

          男性の不満⑤ 「妻が原因の不妊治療。毎回、俺に病院までついてきてくれというが、仕事も簡単に休めないし、無理を言わないでほしい」  男性が病院に行ってもできることはないし、コロナ禍の今は男性が来院できない施設もありますよね。それなのに病院に一緒に行ってくれと言われると、「無理言うなよ…」と思ってしまうかもしれません。  こんなことをあなたに言う妻が本当に望んでいることは何でしょうか。実際に病院についてきてくれることでしょうか。それは無理なことだとわかっているのに言っておられ

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (8)「毎回病院に付き合えって言われても…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (7)「婚家からのプレッシャーがつらいのに夫が守ってくれない」

          女性の不満③ 「夫の実家からの“子ども産め攻撃”がつらい。でも夫は盾になってくれなくて…」 夫の実家から「孫はまだか」と言われて苦しいのですね。ある程度不妊治療についても話しておられるのかもしれませんが、当事者でない婚家の親からすると治療すれば子どもができることが当然と思っている場合も多く、治療をがんばっても妊娠しない苦しさは理解されないことが多いようです。  しかしまずあなたが疲れを感じており、休みたいというのはあなたの内側から出てきている悲鳴ですから、その声を大切に扱っ

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (7)「婚家からのプレッシャーがつらいのに夫が守ってくれない」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (6)「そういう気分にならないのに性交を求められるのがツライ…」

          男性の不満④ 「そういう気分になれない日に妻から求められるのがツライ。途中で中折れすると怒り出す。どうすればいいんだろう?」 妻からすると、妊娠のチャンスはひと月のうち“その日”しかなく、自分が1ヶ月かけて準備してきたことを台無しにされてしまったための怒りと考えられますが、男性には男性の言い分があるでしょう。男性は繊細で、性交がうまくいかないと、「またうまくいかないのではないか」と考えるだけでうまくいかなくなってしまうものです(“予期不安”と言います)。まず、「うまくいかなか

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (6)「そういう気分にならないのに性交を求められるのがツライ…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (5)「排卵日だからって、できるもんじゃないんだよ…」

          男性の不満③ 「排卵日って言われても、できるもんじゃないんだよ…」  排卵日を狙って性交することで妊娠を目指す“タイミング療法”は、性交を介するので「自然な」妊娠方法と思われがちですが、排卵日を指定されての性交はどうしても不自然なものとなってしまいます。気の乗らない性交ですから、女性だって楽しめないのも当然ですし、男性もうまくできないことは珍しくありません。そして一度でも性交がうまくいかないことがあると、それからはタイミングを取らなければならないと思うたびに、「また失敗する

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (5)「排卵日だからって、できるもんじゃないんだよ…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (4)「仕事をやめたいけれど…」

          女性の不満② 「不妊治療に専念するため仕事を辞めたい。夫を説得する方法は?」  夫への説得の前に、もう一度考えていただきたいことがあります。  仕事と不妊治療の両立は確かに大変でしょう。でも仕事を辞めて治療に専念したからといって治療がうまくいくわけではありません(そんなことはわかってますよね)。特に仕事にやりがいを持って働いていた女性が仕事を辞めてしまうと、家にいる時間を持て余し、一日中治療や子どものことを考えてしまい余計につらくなるということもよく聞きます。またやはり治

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (4)「仕事をやめたいけれど…」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (3)「仕事はストレスだけど、やめた方がいいの?」

          【不妊による夫婦・カップルの温度差を埋めるためのヒントにしていただきたいシリーズです】 女性の不満① 「仕事をしながら不妊治療しています。夫から〈ストレスのせいで子どもができないんじゃないか?〉と言われました。もしかして仕事ってやめた方がいいの?」 仕事のせいで妊娠できないという事はあるのでしょうか? 通院ができず医師から指示された治療が行えない場合、あるいは激務のために生理が止まってしまうといった場合を除き、仕事そのもののストレスが原因で妊娠しないということは科学的にはあ

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (3)「仕事はストレスだけど、やめた方がいいの?」

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (2)「どうして俺も検査しなくちゃいけないんだ」

          【不妊による夫婦・カップルの温度差を埋めるためのヒントにしていただきたいシリーズです】 男性の不満② 「どうして俺も検査しなくちゃいけないんだよ」  不妊を疑い始めるのは一般的には女性が多いでしょう。女性には毎月の月経周期があるために、「妊娠しない」ことを毎月確認させられるわけですから、妊娠を望んでいて性交をしているならば、妊娠していないことに不安を感じるのは当然です。でも男性は「そのうちできるはず」と気楽に考えている場合も多く、医療機関を受診することには抵抗があることも

          不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (2)「どうして俺も検査しなくちゃいけないんだ」