見出し画像

不妊による夫婦の温度差を乗り越えよう (12) 「子どもができなかったら離婚すると言われてしまい…」

女性の不満④
「夫に〈子どもは難しいかも〉と話をしたら、〈もし生まれなかったら離婚する〉と言われてしまい、何も言えずに泣いてしまいました」

 大抵のカップルは、結婚する前には子どもについて意外ときちんと話し合っていないものです。「子どもがほしくない」と積極的にどちらかが言わない限り、”二人には子どもができるはずだから子育てをいずれするはずだ”という暗黙の同意ができていることになり、特に問題になりません。それは、結婚すれば子どもができることが自然で当たり前のことと思っているからです。ですから、「本当に子どもができなかったら」という話まで踏み込んで話し合っておらず、実際に不妊という事態が降りかかってきたときに初めて二人の価値観が違うことが明らかになってしまい、お互いを「そんな人だと思わなかった!」と感じてしまうのです。

 夫にこのように言われてしまったとき、「子どもを産まない私には価値がないってこと?!」「子どものために結婚したの?!」と責めても関係が悪くなるだけです。突然のことで驚かれたと思いますし、どう言えばよかったということはありません。しいて言えば、「思ってもみないことを言われて驚いたし、とても悲しい気持ちになった」とご自身の気持ちを率直に伝えることができればよかったかもしれません。それをどのように夫が受け止めるかわかりませんが、少なくとも悲しんでいるという事実とそれが夫自身の言葉によるものであるということは伝わるでしょう。言葉で言わなくても泣いているのだから悲しい気持ちは伝わっているはずだと思われるかもしれませんが、もしかすると夫はあなたがどうして泣いたのかわかっていない可能性さえあるのです。

 それから、夫がどのような思いから「離婚する」と言っているのかを確かめる必要がありますが、それも自分で勝手に想像するのではなく、夫に話してもらい確認することが大切です。そして、もし夫の価値観が受け入れられない場合には二人の結婚関係そのものを見直す必要も出てくるかもしれません。

 夫婦という愛情で結ばれた関係であっても、”言わなくてもわかるはず”はお互いを理解する際にはマイナスに作用することのほうが多いようです。お互いが率直な気持ちを伝え合い聞き合うスキルが、愛し合う二人だからこそ必要なのです。これを愛情の問題にしてしまうと二人の気持ちは離れる一方になってしまうことに注意して、早めに対処しましょう。私もカウンセリングルームで、カップルセラピーが相互理解のきっかけになるようお手伝いしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?