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私が”オープンドナー”として活動する理由

こんにちは!オープンドナーとして精子提供活動をしている、ゆうと申します。

精子提供を行なう際、避けては通れないものがあります。それは「提供者の身元を明かすかどうか」です。

本稿では、身元を明かすことに対する私の考えについて綴っていきます。

なお、私の事やAIDの事などについては、下記記事にまとめていますので、ご覧ください。


■身元を明かすドナーと明かさないドナー

精子提供が盛んな海外では、近年、「オープンドナー」と言われる形態で提供を行なう人が徐々に増えてきています。

オープンドナーとは「身元開示ドナー」のことです。身元を開示する前提で提供を行なうドナーをオープンドナーと言います。
身元を開示するということは、非匿名です。

逆に、身元を開示しないドナーを「身元非公開ドナー(クローズドドナー)」といいます。
身元を明かさないということは、匿名です。


両者の背景

一昔前の日本においては、第三者から提供されて生まれた子供に対して、その事実をなるべく隠しておこうという風潮がありました。
しかし、提供によって生まれた子供の立場からすれば、その第三者の存在は自身のアイデンティティに大変密接に関わってくる、とても重要な情報になることから、近年では、できるだけその事実を話していこうとする風潮に変わりつつあります。

もちろん、身元公開ドナー(オープンドナー)と身元非公開ドナー(クローズドドナー)のどちらがいいのか?どちらが優れているのか?というものではありません。

オープンドナーを選ぶ理由としては、
・ちゃんと身元がはっきりしている方から提供を受けたい
・子供が将来、出自やルーツについて詳しく知りたいと言われたときに対応できるようにしたい
・等々

クローズドドナーを選ぶ理由としては、
・提供者の情報は深く知らないほうが、後腐れなく提供に取り組める
・子供へは一切話すつもりはないため、中途半端に提供者の情報を知ってしまうと、本心から”知らない”と言えなくなる
・等々

というような声が挙げられることが多いです。

当然のことながら、被提供者様が生まれてくる子供に対して、どこまで話すのか?という価値観や考え方によって、オープンドナー/クローズドドナーを選択されることが大前提になります。


■日本における公的な方針

日本における第三者による精子提供(AID)で、ドナーの個人情報はどう扱われているのか?
日本産科婦人科学会が厚生労働省で議論した際、以下のような見解を示しました。

精子提供者のプライバシー保護のため精子提供者は匿名とする

厚生労働省 日本産科婦人科学会「非配偶者間人工授精と精子提供」に関する見解

現在のところ、日本では原則としてドナーの情報は匿名化されています。
”ドナー⇔病院間”では個人情報が保存されますが、”病院⇔被提供者間”では、一切、ドナーの情報を教えてもらえないのが実情です。

もちろんこの学会が言っている通り、個人情報保護法が適用されている日本において、ドナーであってもその個人情報は保護されるものですので、確かに理屈は分かります。
しかし、被提供者様側の目線で考えると、選択肢がない/知る術がないというのはどこか寂しい気がするなと、私は感じました。

親がドナーの情報を知った上で子供には話さないのと、親も知らないから子供には話せないのとでは、まったく意味が違ってきます。


実際、AIDで生まれた方はどのように感じているのか?

私は、この提供活動を行うにあたり、日本と海外との制度の違いや生殖医療の知識について深く調べました。
同時に、AIDで生まれた方々の思いも理解しておく必要があると考え、ブログやニュース記事を読ませていただきました。

結論としては、やはり自身の出自やルーツについて知りたい・提供者を探したいと思った方が多くいることが分かりました。


■オープンドナーとして活動するに至った理由

私は様々な声を目にする中で、以下の考えのもと、身元を明かす”オープンドナー”として活動することにしました。

  1.  子供が持つ”出自を知る権利”に最大限配慮でき、より強固に保護することができる点

  2.  少しでも多くのドナー側の情報を開示することによって、被提供者様が抱えるご不安を、少しでも多く取り除くことができる点

[1.]について。
現在の日本では子供に対して、出自を知る権利は制度としては存在しています。しかしながら、実際は学会の方針によって病院でAIDを受ける場合はドナー情報が開示されない/されたとしても最小限の情報に留められてしまうということは矛盾していると、私は思います。
そのため、生まれてくる子供の人権やアイデンティティを最優先で考えたとき、”親はドナーの情報を知った上で、子供に話すか話さないかを選ぶことができる状態が望ましいのではないか”と感じ、オープンドナーでいることが一番よいと考えました。

[2.]について。
SNSやマッチングサービスを用いて個人活動ドナーを探すにあたり、被提供者様側としては「このドナーはどんな人か?」「信用できるか?」「検査結果に異常はないか?」「過去の実績は?」などなど、一人ひとりに対して非常に詳細な情報を収集していく必要があり、その都度、疑問点や不安も増えてくると、私は思います。
そのため、ドナー側ができる配慮の中で一番確実に被提供者様が抱える不安を拭うことができる手段が”身元をはっきりさせること”ではないかと考えました。


私が開示する情報

私のことに関して、発行できる公的証明書のほぼすべてを開示することができます。
氏名、年齢、住所、精液検査・性病検査の結果はもちろん、卒業証明書やご希望であれば連絡先(電話番号・メールアドレス)まで、しっかりと開示させていただきます。

”ほぼ”と書いたのは戸籍表など、家族の情報も載っている証明書は残念ながらお見せできないためです。理由としては、”私以外の人物の情報”が書かれているためです。
私自身だけが掲載されている証明書であれば、私さえ同意すればいいので問題ないのですが、家族や身内だとはいえ、私が勝手に独断で家族の個人情報に関わる部分を開示することはできず、その権利はないためです。そのため申し訳ございませんが、何卒ご理解下さいますと幸いです。

なお、戸籍表をどうしてもご覧になりたい場合は、「私以外の身内の情報は黒塗りした上でお見せする」ことであれば対応可能ですので、ご希望の場合は一度、ご相談ください。


以上が、私がオープンドナーとして活動する理由となります。
この精子提供の市場は大変繊細であり、被提供者様側もドナー側も”お相手への配慮”がとても大切になる市場だと、私は考えています。

これからも個人提供市場の健全化のために、透明性と信頼性があるドナーとして活動を続けていきます。


■お問い合わせ

下記記事に連絡先をまとめていますので、そちらからご連絡ください。




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