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世界最古のアーケードゲーム

 日本においてシューティングゲームの元祖と言えば「スペースインベーダー」(1978年7月、 パシフィック工業)を思い浮かべる人は多いと思います。当時の社会的な熱狂ぶりを考えると当然です。

 しかし、海外に目を向けてみるとシューティングゲームというのはもっと古くから存在していることがわかります。

 1978年よりも前に発売されていたシューティングゲームには、1976に発売された対戦型アクションシューティングゲーム「Cops & Robbers」(1976年、アタリ)や同じく対戦型アクションシューティングゲーム「M-4」(1977年、ミッドウェイ)などがあります。

 スペースインベーダーをはじめ、これらはいわゆる「アーケードゲーム(*1)」と呼ばれるものです。アーケードゲームは娯楽施設などに設置され、プレイヤーがお金を投入して遊び、企業が収益を稼ぎます。

 アーケードゲームには「ビデオゲーム」と「エレメカ」の2種類が存在しますが、 スペースインベーダーを始めとするシューティングゲームは、 テレビモニタを利用して遊ぶビデオゲームに分類されます。一方、エレメカは機械仕掛けのアナログゲームです。

 1970年代はピンボールなどもまだまだ多く存在していましたが、移りゆく時代の中で、ピンボールの制作からビデオゲームの制作へと方向転換を余儀なくされたメーカーも存在します。

 そのような時代にやっと生まれたビデオゲームは、まだ歴史の浅い遊びだということができます。しかし、21世紀にはエレメカやピンボールを駆逐し、とてつもなく大きな市場へ変貌する遊びとなりました。

 世界で初めて開発されたアーケードゲームは1971年にアメリカで産声をあげました。ゲームの名前は「Computer Space」(1971年11月、シジギー)、ジャンルはシューティングゲームです。

 Computer Spaceは4つのボタンを駆使して遊ぶシューティングゲームで、宇宙空間内を漂っている自機を2つのボタンを使って左右に旋回させ、1つのボタンでジェット噴射を行い前進をさせながら移動を行い、残りのボタンでショットを撃って、自機を攻撃をしてくるUFOを撃墜するというものでした。

 日本では画期的な発明だったと言われている「スペースインベーダーは敵が攻撃をしてくるのだ」というアイディアは、実はスペースインベーダーよりも古くから存在していたことがわかっています。それも世界初のアーケードゲームによって。

 ただ、誤解のないように言っておきます。敵が攻撃してくるゲームがスペースインベーダーよりも前にあった事実が存在するからといって、スペースインベーダー自体の魅力が薄れるものではありません。スペースインベーダーというゲームは、それだけもの凄いゲームなのです。どれくらい凄いゲームであるのか、それはおいおい見ていくことにしましょう。

 逆にスペースインベーダーが登場するまで、敵が攻撃してこなくなってしまったのはなぜでしょうか。歴史を読むときは、そのような見方が非常に大事だと思っています。

 この章では黎明期の歴史からスペースインベーダーが現れるまでの歴史を軽く振り返ってみようと思います。

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*1 海外では「ペニーアーケード」とか「アミューズメントゲーム」と呼ばれます。 日本でもAMショーなどの名称から判るように「アミューズメントマシン」と呼ぶこともあります。 ペニーアーケードというのは「1ペニーで遊べるゲームセンター」という意味です。アメリカでは1セント硬貨を「ペニー」と呼称していますが、ペニーは元々イギリスの補助通貨です。アメリカの補助通貨はセントですが、同じ補助通貨という共通点で括ってペニーと呼んでいるようです。

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