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カムバッック! (日記?)

2020年からはじまっているこのコロナの流行、幸いにも私は一度もかかったことがなく(少なくとも自覚症状はない)、ようやく落ち着いてきた最近は「ひょっとしてオレはこのコロナ禍を無傷で通り抜けられたんじゃないか…!?」とひそやかに喜んでいました。それを人に言ってしまった瞬間に感染してしまいそうで、今まで一度もかかっていないことを誰にも言わず、あくまで自分だけの「お気に入りの秘密」として抱えていました。

それがですね?

かかったんですよ。コロナに。

私、受験生のとき、ストレスから毎日グミを食べて、史上最高に太っていたんです。その時、家族につけられたあだ名が「ガンバレルーヤよしこ」。(よしこさん、ごめんなさい)
見た目が、というのもそうなんですが、その時に撮った事故写がまぁひどくて。机を叩きながら、唇を噛み締めて上をむいて爆笑しているというカット。それが、よしこさんに似ていたんです。黒髪ロングだし。前髪ないし。ピンクっぽい服装だったし。

それ以来、「おい、よしこ」と家族からたまに言われるようになりました。何が言いたいかというと、

「クソが!!!!!」(ピー音)

最悪。せっかくノーコロナでサバイブできると思ってたのに。ちゃんと誰にも言わず、ひそやかに浮かれてたのに。
しかも、体調を崩したのは火曜日。これでは1週間、ほとんど仕事ができません。大事な提案もありました。めちゃくちゃテンションの上がる大事な打ち合わせも金曜日に控えてました。
全部欠席せねばならなくなりました。会社の人に死ぬほど迷惑をかけました。

「クソが!!!!!」(ピー音)

幸いなことに、ご迷惑をおかけした皆様からは大変温かい言葉をいただきました。からだがしんどい時の「大変ですね、お大事になさってください」という言葉は、「お誕生日おめでとう」と同じかそれ以上に嬉しかったです。怖くていつもビクビクしている取引先の人にも同じことを言われ、心に沁みまくりました。ありがとうございました。残タスクはやばいですけど。

良い区切りになったので、一旦仕切り直しということで今日からまた日記なるものを書いていこうと思います。


療養中はしんどかったが、それよりなにより「あぁ、休めている感じがする」と感じたのがもっとヤバかった。
何をするでもなく、ただ布団の中で寝ているだけでいい。それが何よりも休息になった。思えば平日はもちろん、休日もここ数ヶ月はずーっと動き回っていた。どこかへ行ったり、誰かと会ったりして、「何もせずひとりで家にいる」というのがしばらくなかったのだ。

高熱を出しながら仰向けになり、思わず「あぁ、疲れてたんだなぁ~」と吐息を吐くようにひとり言が漏れ出た。

そう、からだを壊した時は大抵、休息を求めている時なのだ。
私はまだ「体調が悪くなるまでこのまま突き進んじゃえ、いずれ自分が教えてくれるさ」と無責任にもからだを放置してしまう。でも今は、それでいいと思っている。なぜだかわからない。もちろん体調を壊さず1年元気でいることに越したことはないのだが、なんだか、今は色々詰め込みたい時期なのだ。私のからだよ、しんどくなったら教えておくれ、今はこのまま遠くへ行こう、色々やってみよう、という気持ちでいる。

***

そして病み上がりで何が一番いやかと言うと、布団である。

つい1,2日前まで熱を出してへばっていた、それと同じ布団でまた寝なければいけない。汗やら苦痛やら、そういったものが全部染み込んでいる布団で、元気になった私はまた寝なければいけない。それがもう、いやなのだ。
またしんどかった時の感覚を思い出すから。病気の時の私が、布団から元気な私を引っ張ってくるような気持ちさえする。

できることなら、病床で使った布団はもう、捨てて新しいものに変えてしまいたい。またまっさらな気持ちで、ニューれおにーを楽しみたい。
けれどそんな贅沢なことはできないので、とりあえず今日はシーツや枕カバーなどを一気に洗っている。
この前買ったばかりのハイターなんかも混ぜて、お洗濯した。

洗濯が終わってシーツを干しているとき、折坂悠太の『坂道』がラジオから流れてきた。
あんまり良い思い出がない曲だ。洗濯機から取り上げたばかりの真っ白なシーツを目の前に、ちょっとだけ心がざわついた。


***

みなさん!!!!!

『セックスエデュケーション』って知ってますか!!!!
ネットフリックスの!!!!

今更ながら、最新のシーズン4が配信されたと知り、この療養中から一気に見始めました。良いですね。

思考停止している保健体育の教科書で穴埋め問題のテストや授業をするくらいなら、このドラマを真剣に見せた方が全然勉強になると思う。特に思春期においては。本当は興味があったのに、性的なことを恥じていた高校生の頃の自分に言ってあげたい。何も恥じることはないし、正常だし、楽しむもんなんだよ、と。ただし、そのためにはルールや知識も必要なんだよ、と。

セックスエデュケーションの舞台はイギリスだ。
『glee』のイギリス版、それに正しい性知識が加わった感じ。

いいよなぁ、作風かわかんないけど、ドラマに出てくる人間たちがみんな良い意味で適当で、日本でガチガチに生きている身としてはホッと肩の荷が降りるような気持ちになる。もっと適当に行こう。多少のことは死なない。

***

死んだらモリコーネかけて

私が死んだら、お葬式にはモリコーネをかけて。
そう言ったら、笑いますか。

モリコーネってすごくないですか。
ラジオからたまたまガブリエルのオーボエが流れてきて、久しぶりに聴いたら文字通り「天国」を感じた。自然豊かな場所へ昇天していく感じがある。私が死んだらガブリエルをかけてください…。

モリコーネはかの有名な『ニューシネマパラダイス』の映画音楽を手掛けた作曲家だ。
モリコーネのメロディはラフマニノフのように、胸がぎゅっと甘酸っぱくなるような、身体の内側が絞られるような感覚がある。梅干しを噛んだ顔をしながら、やわらかい壁と壁の間に入り込んでいきたい気分になる。肉と肉の間がやわらかく、繊細に剥かれるような感覚があるのだ。決して痛くはない。おいしい梅干しのようにどれも酸っぱくて味わい深い。そうかと思いきや、メロディの着地は大草原かのように広がり、落ち着き、心底ホッとする。

私の頭の中はたしかに9.9割が言葉で埋め尽くされているけれど、音楽でしか表現できない感覚や感情の存在はよくよくわかる。そして、音楽でしか伝えられないものも、確実にある。モリコーネの音楽からは、そんな言葉にできないメッセージがよくよく伝わってくる。こういうものは無理に言葉にしないでおきたい。言葉以外の世界を知っていて、本当に良かったと思う。

というわけで、私が死んだらモリコーネをかけてください。



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